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香蘭学園
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父親譲りの黒い髪も塗り替え、違う人格を作り上げることで隙間を埋める。

ただ一つ、実の両親に感謝したことと言えば、背が高いことと、モデル並の容姿だけ。


あとは何もない。


何時からか、"榎本日狩"は存在しなかったことにしていた。

「高校なんてどこでもいいよ。…どこ行ったって変わらないし。出掛けてくる。」

「…もう、放浪息子なんだから。」

血が繋がっていない以上、遠慮がちで深入りできない現母は呆れて溜息をついた。

反抗期。
この年頃の子供は色々と手がかかる。
それを認めるのも母親の勤めとして受け入れようとしていた。



行き先は渋谷のセンター街。
人込みで賑わう繁華街は常に若者で埋め尽くされている。
そこに日狩の姿があった。

「日狩君!!」

手を振る彼女に気づき、日狩はゆっくりとそこまで歩く。

「やっぱ日狩君、目立つよね!すぐわかった。」

「あぁ、そう。」

「何それ、ひッどーい!」

どうでもイイといった態度の日狩の腕に不満げに抱きつくと、長身の日狩を見上げた。

それもその筈。日狩と付き合いたい女性は多々いた。

その中でも一目置いて欲しい、という心理からそうさせるのだろう。

多々いる中のその他大勢ではなく、唯一の存在になりたいと。

だが、日狩本人が特に感情を出さないこと、興味なさそうにしている態度にご立腹のようだ。

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