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香蘭学園
11


「……。」

目が覚めるといつの間にか知らない場所に連れられていた。
白いベッド。いつものカビ臭い煎餅布団ではない。
寝心地は悪くとも、それよりは格段とマシだ。

「…あら。起きた?」

「……アンタ…誰?」

辺りを見回し、夢では無いことを確信する。
頭がガンガン割れるように痛いのを我慢して呼び掛けに虚勢を張る。

「アンタとは酷いわね。ここは病院。わかる?オチビさん。」

ケタケタ笑いながらナース服姿の若い看護士が近づいてくると、一気に今までの出来事が蘇ってきていた。

「…金ならないよ。帰る。」

「どこに?アンタ、ガリガリだし名前は?それに処置中見たけど怪我してるじゃん。お腹減ったでしょ?」

「…いらない。」

他人に情けをかけてもらうつもりは毛頭ない。
慌ててベッドから降りようとすると、

ギュルル―。腹がなった。

「ホラ、お腹へってるんでしょ。食べていきなよ。病院食だからマズイけど、栄養はあるんだから。」

ベッドサイドからテーブルを引き出すと、目の前には暖かい食事が置かれた。
久々の暖かいまともな食事に戸惑いながら、空っぽの胃に全てを詰め込んだ。

胃が空っぽだったせいか、行儀などお構い無し。

マズイと言われていても五臓六腑を満たす食事は、日狩が最近食べたものの中で格段とおいしかった。

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あきゅろす。
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