香蘭学園
9
日狩が顔を背ければ母親は深く溜息をつく。
今まで良い子を演じていたのは、何の為なのかわからなくなっていた。
「ママ、どうして…。僕良い子にしていたよ。朔ちゃんに会いたいのも我慢してたよ。どうして僕を見てくれないの?…どうして。」
「日狩…、貴方さえいなきゃ私は自由なの!面倒なんかみなくていいし、貴方は私のお荷物でしかない。」
衝撃的が頭の中を突き抜ける。殴られるより、蹴られるよりも、痛かった。
僕がいなきゃ、ママは幸せ?僕は悪い子。ママが困ってる。
怒った顔、突き放す言葉。どれもが深く傷つけていく。
「知ってるか?悪い子は――」
タバコを吸いながら近づく、母親以外の気配に身を小さくして震えた。
「……。」
目をつぶり、拳が振り下ろされる。
と、身構えるが、降りて来ない。
薄目を開け確認する。
タバコの煙を吐きかけられ、目を見開く。
「ぎ…あぁぁぁあ。熱い、熱いっっツ!!」
「親を侮辱した烙印を押してやるよ。」
ジュッ――ウウゥッ
真っ赤になったタバコの火だねが肩に押し付けられた。
シャツからあらわになった肌を焦がし焼き付けられる。
「熱い…痛いッ…やッ…。」
何度も何度も灰皿に押し付けるように肉で揉み消す。
「熱いのか?ふーん、じゃあ冷やしてやる。」
胸倉を掴み風呂場へ引きずられると、水のためてあった浴槽に頭からたたき付けられた。
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