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香蘭学園
6
抜け出せすなら抜け出したい。
夢でなら本音が言える。

「起きろ!いつまで寝てるんだよ。泣いてんだろうが。」

いつも肝心な場面で起こされて、日々募っていく朔夜に会いたいという気持ちは、薄れるばかりか濃くなっていく一方だった。



「ハイ。今起きますから…。お願い…殴らないで。」

あの男がいつの間にか戸籍上では父親になっていた。
こんな男を父親だとは認めていない。認めたくない。唇を噛み締め、感情を押し殺す。

「面倒見とけ。」

男がギャーギャー泣きじゃくる赤ん坊に尻目を向け、顎で合図した。

相変わらず日狩に対して、何を思っているのか投げ掛ける言葉は冷たい。

日狩の同意も無いまま、話は大人達だけでまとまり、いつしか子供が出来たからと、母親とこの男が再婚していた。

母親は日中、働き蟻のごとく仕事にでるが、男は仕事を辞め、稼いだ母親の金でギャンブルに湯水のように投資する。

そんなカツカツの生活を送っていてもタバコも酒も辞める気はなさそうだ。

プカプカ煙を吐き出し、新聞片手にTVを見て騒ぎ、いい大人が昼間から酒の缶を空けていく。

「酒だ、酒!酒がないぞ。」

最後にあったビール缶を横に振る。次第に機嫌の悪くなるのは目に見えていた。

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あきゅろす。
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