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香蘭学園
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ママとパパは仲が悪くなってママが出ていったのは、僕が四歳の時。

僕の名前は榎本日狩(えのもとひかる)。
お兄チャンは榎本朔夜(えのもとさくや)。

僕と朔ちゃんとは仲がよくて、近所でも評判の仲良し兄弟。


「ひー君と朔ちやんは仲よしだね。」

近所のおばちゃんおじちゃんが口を揃えて言う。

そんな日常が当たり前に続くと思ってた。

これから先も、ずっとずっと。

だから僕はニコニコして嬉しくて答えたんだ。

「ウン。僕、朔ちゃん大好きだもん。パパは…怖いから…あんまり好きじゃない。」


――

慌ただしく引っ越し屋のトラックが荷物を運んでいく。

「日狩も早くのって!」

助手席のドアがあけらられ乗り込むと、坐り心地の悪いベンチシート。
動き出すとガタガタ揺れる荷台。

「今日から…ママと二人で過ごすの。」

「え、朔ちゃんは?」

「……日狩は朔夜が好きなのね。いい子にしてたら…あえるわ。」

隣に座る母親は泣き腫らしたのか、目が真っ赤だ。
そんな心境は幼い日狩にはわからなかった。

「ウン。いい子にする!」

「…日狩…ごめんね。」

ギュっと抱きしめられる。頬に当たる母親の長い髪がくすぐったくてキャッキャとはしゃいだ。

その時の『ごめんね』の意味も理解できないまま時が過ぎさった。

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あきゅろす。
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