香蘭学園
16
「朔〜夜クン?まだ機嫌悪いの?」
「…別に。」
寮のリビングあるソファーに降ろされると、また朔夜の機嫌が悪くなり日狩の呼び掛けにプイと、顔を反らす。
キスの効果も切れていた。
「俺のせいだろ?寝不足なの。」
苦笑する日狩を避けるように、目を合わせない。
けれども、前にも後ろにも逃げるに逃げ出せない状況。
真横は日狩の腕に阻まれている。
「…朔夜?今朝は言いすぎた。ゴメン。」
「…何だよ急に。」
だったらどけよ。言わんばかりに睨み付け隙さえあれば逃げたそうと日狩の出方を待つ。
「朔夜が好きなのは本当。前みたいに無理矢理やりたくないから…。」
笑顔の陰る日狩に朔夜は一瞬目を見開き、言葉に詰まった。
イヤミの一つも浮かんでこない。
「だったら、…他の奴なんか抱く…なよ…。」
消え入りそうなボソボソ弱々しく途切れ途切れに話し出す。
口を両手てしまった、と塞ぐがもう遅い。
つい本音が出てしまっていた。
「いや…俺は…さっきのは忘れろよ。…何でもない。」
隠し通そうとしていたのにもうイイワケすればするほど深見にはまって行く。
日狩には、しっかりと朔夜の言葉が聞こえていた。
日狩が何よりも一番欲しかった答え。
「抱かなかったら…もし、俺が他の奴、抱かなかったら、朔夜は俺のモノになってくれる?好きでいてくれる?」
日狩は一か八かで朔夜に問うた。
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