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香蘭学園
15
自分が惨めになるのは目に見えている。

だったら最初から期待させるような事をしてほしくない。

指先に力を入れ、ベッドの手摺りに手を掛け立ち上がった。

「朔夜ッ。」

「ッ…。何でだよ…。何で」

軽く目眩でよたつく。何度も立ち上がろうと試みるが両膝は冷たいリノウムの床に引き戻される。
脚に力が入らない。

固着してしまったようにその場にしゃがみ込んだ。

「…そんな強がんなよ。」

眩しいほどの笑顔が悔しい。

「ウルサイ、ウルサイ。元はと言えばお前のせいでッて、あっ…チョイ、日狩やめろッ!」

猫を抱き上げるように軽々と日狩の肩に担がれ、朔夜がわめきだす。

「少しは大人しくしとけよ。あとでいくらでも文句ならきいてやるから。」

「おいッ下ろせ!下ろせ!」

朔夜はジタバタ暴れ、必死に抵抗を続けた。

こんな姿、恥ずかしくて仕方ない。

「…俺がこんな風に振り回されるなんてなぁ。」

暴れる朔夜をなだめ、一旦ベッドサイドに座らせる。

「人の好意は素直に聞いとけよ。」

「んッ―――。」

日狩は黙らせるかのように唇を塞いでいた。
唇と唇が触れるだけの軽いキス。
日狩にしては、子供だましのようなモノが、朔夜にとっては効果絶大だ。

「……。バカッ。」

「なんなりと。」

余裕シャクシャクとほほ笑み返された。

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