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香蘭学園
12
時折見せるちょっとした姿が冷たさの中に大人の色気を放っていた。

「真壁チャン〜。」

「あぁッ、先生をつけろ。バカタレ。」

日狩の声、呆れたように真壁がため息をつく。

「オマエ等用がないなら来るなといつもいってんだろ。」

話しの内容からして日狩一人ではなく南条浬もそこに居ると推測される。
そしてここに来たのも一度二度ではなく常連らしい。

朔夜は慌ててゴソゴソ布団に潜った。

顔を今は日狩と合わせたくない。
ここまで運ん出来てくれたことは感謝するが、今更どんな対応をしていいかわからない。

後ろめたさでいっぱいだった。

「おちおちタバコも吸えねぇよ。」

真壁がタバコに火をつけたのだろうか?カチッと音がした後にカーテンの隙間から、ほのかにいつも日狩が吸っているタバコとは違う煙の匂いが漂ってきた。

「真壁チャン、タバコはお肌に悪いぜ?折角綺麗な顔してるんだからサ。」

「ウッサイ。俺は男だから関係ないだろ。っーかオマエに言われたくない。」

他人にあまり興味を示さない日狩とあの冷たい容姿の真壁が楽しそうに喋っているのが耳に入ってくる。

朔夜はおもわず耳を塞いだ。

何故だか痛い。
胸の奥の方がズキズキ痛む。
心臓が鷲づかみにされたような痛みだった。

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