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香蘭学園
9
「あ、何かあったのか?」

浬がチラリと視線を移すと、コートの中には人だかりが出来はじめ、ザワついている。

「興味ねぇ…って、アレ、朔夜か!?」

生徒と生徒の間から垣間見えるのは朔夜だった。
コート内を走り回っていたのが電池が切れた玩具のように床に横たわっている。

「おい、大槻ボケっとしてる場合じゃ無いぞ。」

「あ、あぁ。」

今、この状況で何が起こっているのか理解できずに止まってしまった日狩に浬が現実に引き戻す。

「おい、榎本ッ。」

横たわる朔夜を浬が揺すって呼び掛けるが、返事が無い。血の気の引いた朔夜の顔はいつもに増して白い。

「朔…夜?」

日狩はまだ信じられていなかった。口を聞けば悪態をつく朔夜が黙ったまま動かない。

冷や汗が背中を伝う。

「おい、…何か…言えよ。」

浬と場所を交換し、血の気をなくした朔夜の頬に手を触れる。

呼吸が荒い。

やっと事の日狩が事の重大さに気づいた。

辺りは騒然として始める。中には不謹慎にも倒れている朔夜に嫉妬の念を送っているものまでいた。

「保健室、取り合えず連れていくぞ。」

「朔…夜…俺のせい?」

日狩は抜け殻のようにいつもの悪態さえ付けない状態で止まってしまう。

「お前が連れていかないなら俺が連れていく!」

痺れを切らした浬が朔夜を抱き抱えた。

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あきゅろす。
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