香蘭学園
7
同時刻、朔夜は眠れずに爪を噛みながら朝が明けて行くのを眺めていた。
眩しい太陽が昇りだす。
朝焼けが眩しく朔夜の顔を照らし出すが朔夜の心の中は靄が掛かったかのように鈍よりしていた。
毎回変わる、甘ったるい香水とタバコの煙が混じった匂い。
朔夜も義務教育中の子供じゃない。
日狩が何をしてきたなんか聞かなくてもわかっている分、悔しさが込み上げてきた。
眠いはずなのに、頭の中は日狩のことでいっぱいで眠れそうもない。
素直になれたらどんなにラクだろう。
あの日、言われた嘘だったのか?
まだ、日狩を信じきったわけではない。
いっそのことくだらないジョークだ、と日狩から言われれば諦めも着く。
独りよがりだとわかっている分、何故か悔しい。
これから先、三年もこの状態が続くのだと思うと頭が痛くなっていた。
そんなことを考えていても、容赦なく時間は過ぎていく。
手の平がジンジンと熱を帯びてくる。
『痛い…』
叩いたほうも痛いんだから、叩かれた日狩も痛かっただろう。
こんな時まで、なにも心配する必要もないはず。
泣きたくもないのに、何故か目に溜まった液体が溢れ、頬を伝って朝焼けが朔夜を照らしていた。
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