香蘭学園
2
男としての本能なのだろう。受け入れたいと思っても心と体はそう簡単には相容れてくれない。
自分はその葛藤と闘っているにも関わらず、相変わらずな日狩に不安を感じていた。
夜になれば身体を求めてやまない。
幸いキスは馴れた。
毎日強引とも言える一方的に日狩がしてくる。
拒否することも出来るのだがそこはやっと朔夜が譲歩できる唯一の一線で、イヤだといいながらも本当はドキドキしてやまない鼓動が高鳴るのをバレるのがイヤだった。
「……。」
押し黙ったまま朔夜がボンヤリ宙を見上げ、頁をめくる手がとまる。
(ただ、アイツはやりたいだけなんだ。『好き』なんて言葉は誰にでも、すぐに吐く最低な奴。)
マイナス思考にばかり頭が働く。日狩へ怒りが込み上げてくるばかり。気持ちに余裕がなくなり収拾できなくてもどかしい。
気付けば先程まで読んでいた雑誌を咄嗟に壁へ投げ付けていた。
「日狩の、ばぁぁか…ッ!!」
音を立てて雑誌が床にバサバサ音を立てて飛散していく。
「何だよ。…ワケわかんない。俺のこと好きだって言ってくれただろ…。」
虚しく部屋の中に朔夜の声は誰に聞こえるわけでもない。
視界は徐々にぼやけ、完全にぼやけた時には声を押し殺して近くにあったクッションに顔を押し付けていた。
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