香蘭学園
39
恋愛の駆け引きなんて今まで経験なんかしたことの無い朔夜にとって、強引に物事を進めてくる日狩にはついていけない。
「だから…、離さないし逃がさないよ。」
真剣に言われれば言われるほど照れ臭くなって何も言えなくなる。
ここで一つでも強気発言をしたくても何も言葉が浮かばない。
「ったく。日狩にはついてけないっての。」
「大丈夫。俺が朔チャンひっぱってってやるからさ。」
真夏の太陽みたいにケタケタ笑う日狩は輝いて腹が立つくらい格好よく見えた。
「…で、朔チャンはどう思ってんの?俺のこと。」
「は、何のだよ?時間ないんだから学校むかわないと遅刻…。」
チラリと慌てるように時計をわざとらしく見る。
答えなんかもう既に決まっているが悔しくて言いたくない。
すました様にタバコに火をつけソファーで足を組む日狩は自信有り気だ。
「ヤニが煙いっての。」
「ハイハイ、消したぜ?」
話をはぐらかしその場を切り抜けようとするが、そうもいかない。
うまく交わされてしまう。
時計はカチカチ秒針がウザイ。
それに比例して心臓が耳元にあるのではないかと疑いたくなるほどに鼓動する。
なんとなく揉み消されたタバコを見つめ、視線を上に移動させると日狩と目が合い、急いで逸らせた。
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