香蘭学園
36
好きの種類は何通りもあるワケでどの解釈をしていいのがわからない。
「…好きって…、許してくれるの?」
「許すも許さないも…。」
朔夜が振り向くと日狩がうなじに顔を埋めていた。そのくすぐったさに笑みが漏れる。
「朔夜のことが好きだし、抱きたい。偽りなんかじゃない本気だから、ごまかさないで。」
一瞬垣間見る日狩は同じ年齢なのに大人で真剣そのもの。
やっと日狩の言いたい好きがわかった。
「やっぱ…日狩ってば狡いよ。こんな時にさ。」
今までそっけなかった癖に、急に優しくなったり都合のいい奴。
ホント狡い。
朔夜の頬が赤くなる。
なんだかんだいっても好きといわれると、なんとなく悪い気もちはしない。
「…で、俺はこのまま朔夜を好きでいいの?返事がないからいい方に解釈するよ。」
「っ、勝手にしろよ。」
「ん、わかった。泣いて嫌がっても離さないから覚悟してね。朔チャン。」
抱き寄せられる身体は心地いい。
強引で我が儘で狡いと思う半面、自分もモヤモヤした気持ちが晴れてくる。
高鳴る心臓を抑えながら、日狩に体を預け夜が更けていった。
看病の甲斐もあって、日狩の体調も良くなった。
今では熱を出していたなんて嘘の様に空元気だ。
「朔夜、起きろよ。朝メシ行くぞ?」
「ん…日狩おはよ。」
寝ぼけながら視点の合っていない眼を擦り、欠伸をした。
「朔夜。…誘ってる?」
「は?何ソレ?」
寝起きの朔夜はまだ半分夢の中。ウツラウツラまた睡魔に襲われる。
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