香蘭学園
35
胸が、締め付けられるように痛む。
自分の知らないところで辛い思いをしていた。それを想像すると耐え難い震えが襲ってくる。
「もう…、話さなくていいよ。」
これ以上聞きたくなかった。
目を合わせられない。
日狩が母親を憎む理由がわかったから、全部聞いたら涙腺が壊れ溢れてしまう。
「アハハ…朔夜のことガキって言ったけど、ガキは俺の方だな。カッコワリ…。」
笑ってはいるが、最後の方は投げやりに吐き出される。
どんな表情を今しているか口調で大体は検討がつく。
「そんなこと言うなよ…。そんな風に思わせてゴメン。知らないですませられない…よね…。」
偽りではなく本心から謝りっていた。
このくらいしないと気がすまない。こんなのじゃ足りない。出来ることならどんなことをしてでも償いたかった。
「朔夜…。」
「何?」
日狩の腕が腰に密着し、深い場所まで響く低い声。
ざわめく心中。
自然と身構えて、何でも受け入れてやると批難の台詞を待っていた。
「大好きだよ…兄弟としてとかじゃなくて。」
「…へ?何言ってんの?熱でおかしくなっちゃった?」
熱のせいで日狩がおかしい。何を言っているんだ?
頭が真っ白になる。
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