短編小説 1 俺の親友は、中学の時の初恋の相手を高校を卒業して、社会人になった今でも好きだと言う。 実際、中学までは付き合っていたが、彼女が遠くの高校に行くとかで、二人がどっちも納得して別れた。 それから、彼女とは何にも繋がりはないと思う。 中学から、高校、会社とずっと一緒だった俺が言うんだ。間違いない。 さぁ、何で俺がこんな事を言うのか、それは、親友である深河の死期が近いからである。 恋に恋をする 「なぁ、佐条お前毎日病院来るけど暇じゃねぇの?」 「問題ない。課長にいったら、残業しなくていいから、存分に傍にいてやれだとよ」 「ハハ、それは俺が愛されてんのか、それとも佐条が無能なのか?」 「さぁな。」 俺は、毎日病院に通っている。たまたま病院に来た時に深河の両親に言われた。 “深河の体は限界で、いつ死んでもおかしくない” って。 だから、俺はなるべく深河の傍にいる。 アイツの最後になるかもしれない言葉を聞き逃さないために。 いつでも隣にいたんだ。 死ぬ時も、傍にいたい。 一番近い友達として。 [*前へ][次へ#] [戻る] |