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Heavy smokerbaby once more cry.
ユートピアの噂



「…はぁ。」


今は、放課後。


そして、僕は屋上に繋がる階段を登ってる。例のプール掃除のために。というか、本当はプール掃除なんて必要ない。

なぜなら、水泳部は4年前に廃部になったし、授業で水泳なんてないから、ずっと放置されてきた。

今は、立ち入り禁止になっている。そんな所の掃除など、やる必要があるのか?
全く桐屋の奴の思考がわからない。あの人は、いつも謎だ。

さっきの様に鋭いと思えば、プール掃除みたいに馬鹿なのか?って思う時もある

立ち入り禁止の場所に生徒を行かせていいのか。


「…わからない」



だけど、例外で屋上に居座る奴がいる―――…。



ユートピアだ。






ユートピア…空想上の理想的な社会.理想郷 …



そんな意味の名前を付けられた生徒が、この学校にはいる。





その生徒の本当の名前を知っている者はいない。


だから、ユートピアと僕達は呼んでいる。


〔僕達の理想、ユートピア〕



その生徒が、授業に出た事はないらしい。髪も、このお金持ちの進学校ではありえない赤色。

ピアスもして、ヘビースモーカーだと言う。


理由は定かではないが、ユートピアはいつでもどこかに怪我をしているそうだ。

それは、何処かの族のリーダーだとか、毎日ヤクザと殺りあっているとか、噂は様々だ。



そんな、ユートピアを学校も黙認している。


普通なら、こんな問題児すぐに退学なのだが、それが出来ない理由があった。


娯楽なんてひとつもないこの檻の中で、ユートピアは、僕達の癒しであり、希望だった。
将来を決められた僕達は、安易な行動をとってはいけない。

恋人も友達も遊びも、全部、勉強の後回し。


僕達は、将来のために今を青春を犠牲にしている。
頭では理解していても、僕達はまだ不完全な子供だ。
耐えきれなくなって、暴行や犯罪に手を染める事も少なくなかった。
遊びや恋愛を後回しにする事が、当たり前だったとしても、誰しもがその事に満足しているわけではない。
僕達は、そういう事に疎かったのかもしれない。



僕達は、自分達の自由をユートピアに重ねた。

同じ檻の中で、僕達に出来ない事をしているユートピアに。僕達は、憧れの眼差しで見つめていた。

学校もそれで、ユートピアを黙認した。

生徒から、犯罪者などか出るよりは、ユートピア存在させ、
生徒の自由になりたいと言う欲を少しでも和らげようとしたからだ。



そのおがげで、生徒から犯罪者や暴行をする者もいなくなった。


ユートピアは、僕達の欲や自由の捌け口となり、いつの間にかヒーローのような扱いになっていた。


そんなユートピアは、いつも屋上プールにいる。
屋上に出入りする者などユートピア以外に存在しない。
ユートピアは、いつも一人でいて、友達がいるなどと言う噂は、聞いた事がない。

それもそうだ。ユートピアと話をした者は、ほとんどいないのだから。

ユートピアは僕達にとって、ヒーローのような存在だが近づこうとする者は、いなかった。


〔ユートピアは、眺めているのが一番〕


ヒーローとは言え、問題児は問題児。関わったなら、親がなんと言うかわからない。
学校もユートピアと生徒の接触をさせないようにしている。
黙認しているとはいえ、認めているのはその存在だけ。
それ以外の情報は、一切話さなかった。

だから、名前も誕生日も何もかも知っている生徒はいないのだ。




「…理不尽だな、全く」



僕は、見たことすらなかった。

噂しか、今まで耳にしてこなかった。


だから、少し興味があった。






僕達のユートピアに。

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あきゅろす。
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