Heavy smokerbaby once more cry.
きっかけ
ここは、街でも有数の進学校。
ここで、僕達生徒は青春なんかを謳歌はしない。なぜなら、ただの中間地点にすぎないからだ。
ただの中間地点に遊んでいる暇がある奴などいない。
将来を約束された子供達の集まりは、勉強や帝王学しか知らない。
知る必要がないのだ。
恋愛も遊びも大人になってからで十分。
それを変とも思わない。周りは、そんな人間ばかりだから。
所詮僕も、その中の一人なわけで、
「おーい、小椋ー」
誰だこいつ。確かクラスの……た、た、玉木?あれ?宏?
僕は、某有名な俳優の名前を思い出した。周1時間だけ許されているテレビのニュースにドラマの宣伝で一度だけ見た名前だった。
「ドイツ語の桐屋先生が、小椋呼んでたよ」
「桐屋……?あぁ、レポートの事か、」
昨日提出のはずだったドイツ語のレポート。
こんな事意味のあるのかと
親や学校の言う事を何も我が侭言わずこなし続けるいい子な自分が馬鹿らしくなって、ちょっとした反抗で出さなかったのだ。
別にこれだけでどうこうなるとは思ってはいなかったけれど、
「何?小椋この前のドイツ語のレポート提出してなかったの?」
「ん……あぁ」
あんましゃべった事ないのに、よく話してくる…。僕、名前も思い出せないんだけれど。
「へぇ、成績学年1位の小椋がねぇ………ユートピアにでもやられた?」
「違う。寝て忘れてただけだ」
ユートピア。自由に身動きがとれない僕達の夢、憧れ。
「ふーん、でもユートピアは眺めてるのが一番だよ」
ニコッと万人受けしそうな眩しい笑顔でそう言った。
別に違うと言っているのに。馬鹿なのか。
「分かってる。それじゃ僕は、職員室行ってくる」
「頑張ってねー」
「ああ。じゃあさよなら玉木宏。」
「え"、宏って誰だよ」
うん。やっぱり宏じゃなかったみたいだ。
まぁ、いいか。もう話す事もないだろう。
何十人もいるクラスの一人一人を僕は、区別していない。僕には、格別興味はなかったし、それは、他のクラスメイトも同じな筈だ。
僕は、クラスを一つの塊として見ている。
その塊の中身に興味はない。
もちろん、その中に含まれている僕自身にも。
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