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Heavy smokerbaby once more cry.
バイバイ



お昼が終わった後も、トントンと授業が終了した。


7限目が終了した後、僕はそそくさと荷物の準備をして、教室を出ようとしたら、







玉……翠に話かけられた。




「小椋、もう帰んの?」


「それが?帰る時は、玉木に言わなきゃいけないのか?」





そう僕が言うと、玉木は傷ついたように顔を歪めた。


僕は、別に玉木がうざかったり、イラついていたわけではない。





ホントに疑問に思っただけだ。





僕は今まで、玉木くらい近い友達を作った事がなかった。


だから、誰かが早く帰っていなくなったりしても、

声をかける事も、かけられる事もなかった。
これが当たり前だと思っていた。だから、疑問だったんだ。









―――…僕は冷たい人間なのだろうか?









そんな事を考えていると、玉木は深いため息をついて

僕の頭をぐしゃぐしゃに掻き回した。



「っ!!、?玉木?」



「呼び方名字に戻ってるし。」



「……ごめん。、翠あの……」



「分かってる。」



「え?」



「小椋が怒ったりしてないことは、分かってる。でもな、小椋、」



「うん」



「帰ったら、明日まで会わないんだからさ、“バイバイ”の一つでもあっていいんじゃない?」



「バイバイ……?」



「そ。勝手に帰られたら、悲しいじゃん?」



「そ、なのか?」



「うん」




じゃあ、僕は玉木を悲しませた……のか?



「……ご、めん。」





僕はうつむきながら、謝っていた。


僕はこういう時、どうすればいいのか、分からない。


難しい数学方式が解っても、ドイツ語やイタリア語が話せても、


こんな身近な事への対処法が見出だせない。






「…………小椋ってさ、赤ちゃんみたいだな」



「え……」








それほど無知って事か……?

僕は余計顔を上げられなくなった。

なんにも、知らな、い……。






「あ、変な方に考えただろ!いや、単純に人とあんま接した事ないのかなって。今までやった事も
考えた事もなかっただろ?」





「……うん」






「だから、それは仕方ねーの。これから知っていけばいい。何でも俺に聞けよ?」




「うん……ありがと……」



「ん」







これから知っていけばいい……か。







僕はこの先どんな事を知っていくんだろう。


どれだけ、僕の知らない事を玉木は知っているのだろう。



僕はようやく、顔を上げる事ができた。

玉木の目線と重なった。


「それと、名前、無理しなくていい。馴れたらでいいよ。」





玉木の笑顔が、眩しかった。





――――――……玉木は、いつも


僕に優しい。






僕もそれと同じくらい、返していきたい。






「じゃあな、小椋」



「ぅん…………バイバイ、翠」



「!」







少しずつでいい。






――――……返していけるようにしよう。









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あきゅろす。
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