Heavy smokerbaby once more cry.
片隅の空
ユトと初めて会って、友達になった時に、僕はユトに聞いた。
《なんで、屋上にいるんだ?》
《ああ、ココが一番空に近いからかな―――…》
返されたその言葉が、時折僕の頭の中でリピートする。
そう言えば、僕も昔、空に恋い焦がれていた。
何故と言われれば、上手くは答えられないが、毎日空の写真を撮って壁に張っていた。
無意識に何にもない真っ白な壁を埋めつくそうとしていた。
到底広い部屋の壁を埋め尽くせるはずはなく、一部でとどまっているが、
思えば、そこは自分が唯一部屋で、呼吸の出来る場所だった。
真っ白くて何もない部屋の中が、息苦しくて死にそうになっていた。
あの時できた部屋の片隅の空は
今も青々とそこだけ変わらず美しく輝いている。
あのだだっ広い部屋は、今でも好きになれないが、何故かあそこから抜け出せないのは、
もしかしたら、この小さな空のせいかもしれない。
幼い自分が初めて、自分で作った
唯一息の出来る場所だった。
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