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Heavy smokerbaby once more cry.
孤独の王子様





「小椋…?

ハァ。つか、いい加減、勝手に一人で自分の世界にトリップすんのやめろよな。」




「……ゴメン」








あ、なんか僕スゲー恥ずかしい奴。



「ほら、頭じゃなくてブラシ動かせよ。進まないだろ」



黙って僕はブラシを動かした。

シャコシャコシャコ…




プールは、案外汚れていなくて、水は殆ど綺麗なままだった。



ふと、頭に浮かんだ疑問を言葉にした。



「なぁ、ユートピア、お前はどうして屋上にいつもいるんだ?」




「んー……ココ(学校)で一番空に近いから………かな?」



一番空に近いから?

なんで、空が近くになきゃいけないんだ?
わからない。


「それと……」



「それと…?」



「……学校の一番てっぺんにいなきゃいけないだろ?」



クスッと笑ってユートピアはそう言った。


自分の役目がわかっての事なのだろう。


なんとなくそう思う。自ら望んでユートピアになったわけじゃないとしても、

自分の存在の大きさを理解しているのだろう。


なんとなく、悲しくなった。


ずっと頂点に君臨する。


それは、どんなに寂しく、退屈な事だろう。



孤独な王子様は、僕ら民衆に何を望むのか。





民衆の僕には、わからない。






それでも、




僕は一番王子様に近づいた人間として、


貴方の特別になれるだろうか。


願わくば、貴方の笑顔が一人の時より一回でも多くなりますように。




僕はこの青い空に



――――…願わずには、いられなかった。








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あきゅろす。
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