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招待者を求めて

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筋斗雲で飛び続け、しばらくが経過した。


茜色に染まっていた空は、あっという間に真っ暗になっていた。


同時に、ブルマに頼まれていたリファの役目も終わったようだ。


約二人の分を除いて。



「えっと…後は…悟空さんとベジータ王子だけ…かな……」



懐からブルマに貰った簡易名簿を取り出し、まだ横線が引かれていない名前を見つめるなり、ふぅーっと溜め息をつく。


その二つの名前は勿論、悟空とベジータの事である。


彼ら二人は特にマイペースである為、一つの場所に留まる事はまず有り得ない。


相手の気を読む事の出来ないリファにとって、この役目はとても酷だった。



「うーん…どうやって二人を捜そうかな……」



腕組みをし、険しい表情を浮かべるリファ。


アッサリと引き受けてしまったが、これらは簡単な事ではない。


特に悟空の場合、自宅へ帰っている可能性は高い。だが、そこには妻であるチチも一緒に居る筈だ。


ベジータとリファの仲を公認しているブルマとは違い、チチはまだ自分の存在を知らない。


それだけに、会いづらい。捜す事は簡単だが、その後が厄介なのである。


突然訪ねてきた異性に悟空の仲間だと言われても、そう簡単に信じて貰えるだろうか。


チチが悟空の性格を知り尽くしているからこそ、疑われるのも当然だろう。


悟空のリファへの扱いが、妻であるチチよりも明らかに丁寧だからである。


今までの彼ならば、そのような事は一切なかった為、リファに特別な感情を抱いている事もすぐに悟られてしまう。


彼と疎遠にならない為には、やはり一定の距離が重要だという事なのだろう。


ブルマやその他大勢の者からそう言われ続けていた為、リファも警戒せざるを得なくなってしまった。


リファ自身、チチと仲良くしたいという気持ちは強いのだが、まだその時ではないのかもしれない。


焦って突っ走るよりも、徐々に接触していく方がまだ可能性はある。



「悟空さんは…一番最後にした方が良いのかな…じゃあ……」



先にベジータの元へ向かおうと考えたが、彼が今どこにいるのかと考えると、その先の事が何も浮かんで来ない。


どこかで修業している事には変わりないだろうが、詳しい場所までは分かる筈もない。



「……一度、ブルマさんのとこに戻ろうかな……」



ブルマならベジータがよく行きそうな所を知っているかもしれない。


何も分からないまま闇雲に飛び回るよりも効率的だ。



「…やっぱり、明日にしよう……」



もう夜も遅い。こんな時間に訪ねてはきっと迷惑になるに違いない。


そう思ったリファは、筋斗雲にそのまま家へ戻って欲しいと頼んだ。


リファに言われた通り、筋斗雲はグルンとUターンし、彼女の自宅へと向かい始めた。


この続きは明日に持ち越される。


その筈だったのだが、この後意外な人物に遭遇してしまう事を彼女はまだ知らない。



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あきゅろす。
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