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カリン塔にて

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筋斗雲に乗り続ける事数時間、ようやく目的地に到着したようだ。



「お久しぶりです、カリンさま!お元気でいらっしゃいましたか?」



それがここ、カリン塔である。筋斗雲からゆっくり降り、こちらへやって来るカリンに向かって深く頭を下げた。



「よう来たのう…ワシはこの通り元気じゃぞい。おぬしは…少しばかり痩せたんじゃないかのう…?」


自身の腕を回したり、自身の影に向かって飛び蹴りをしてみせたり、良好である事を全身を使って伝えるカリン。


だがその直後、リファの身体に異変を感じ、ピタリと動きを止めた。


そして、今度は彼女の周りをクルクルと回り、うーんと唸り声を上げる。


下界での生活がキツイのではないかと、気になっているようだ。



「そうですか?私も元気ですよ!さっきだってブルマさんに美味しいケーキ、ご馳走して貰いましたしっ!」



昼間のケーキの事を思い出すと、いつもなら顔がほころぶ筈だが、今日は若干引きつっているようにも見える。


やはり、彼女の心の中にあるモヤモヤが未だに取れていないせいだろうか。



「その割には顔は笑っておらんように見えるがのう…」



勿論カリンもお見通しであった。


既に読心術で詳しい事も把握しているようだが、敢えて何も口に出さずにいる。



「…そ、それよりカリンさま!10月31日だけ下界に来る事って、出来ませんか?ヤジロベーさんと一緒にブルマさんのお家へ来て頂きたいのですが…」



極力話をややこしくさせたくなかったのか、リファは慌てて本題に移った。


例のハロウィンパーティーの事である。


ブルマからの頼みで、仙猫カリンとヤジロベー、そして神殿にいる地球の神やその他大勢もパーティーに誘うように言われているのだ。


カリンの両手をギュッと握りながら、熱い眼差しを送るリファ。


その目が何となく助けを求められているようで、軽い金縛りにあったような感覚に襲われる。


もし断ればどうなってしまうだろう。カリンはこの先の事など考えたくもなかった。



「…わ、ワシは構わんよ。おぬしの頼みなら、その日だけ下界に行ってやろ…「ありがとうございます!じゃあ詳しい事はまた後ほどお伝えします!」



最後まで言い終える前に、勢い良く頭を下げた後、慌ただしくも筋斗雲で次の場所へ向かって行った。


あっという間に小さくなってしまったリファの方を見上げながら、カリンはポツリと呟いた。



「やれやれ…あの娘、悟空のせっかちがうつってきたんじゃないかの〜…」



前足で頭を掻きながら、ヒョコヒョコと階段を下る。下の階で寝ているヤジロベーを起こしに行くつもりらしい。



「リファよ…そう心配せんでも、おぬしの頼みならあやつは断らん筈じゃ…もし拒んだとしても、それは照れ隠しに過ぎんからのう……」



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