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ブルマの頼み





「あ、そうそう。ついでにさ、ベジータにも声かけてあげてくれない?アイツ…私が誘っても絶対来ないと思うのよねー」


「え"っ…」



苦笑しながらリファに頼むブルマ。


現在、ベジータもカプセルコーポレーションに住んでいるものの、気難しい性格の為、なかなか心を開かないのだという。


話しかけても鬱陶しそうな顔をされるだけで、何一つ進展がない。


このような状態でパーティなどに誘える筈がない。


可能性があるとすれば、唯一彼が反応を見せるリファだけである。



「王子は…ブルマさんが誘われた方がよろしいんじゃ…せっかく一緒に暮らしていらっしゃるんですし…」



恋愛に関する事にかなり疎いリファだが、ここで自分が間に入ると厄介な事になりそうだという事だけは分かっているようだ。


いくらベジータがストイックな性格であると分かっていても、いつ何が起こるか分からない。


下界で暮らし、様々な体験を重ねてきた彼女だからこそ、より慎重になるべき事だと身に染みて感じるのだという。



「それに、私がお誘いしても来てくださるとは限りませんし…」



そしてもう一つ。


フリーザの一件があってから色々あり、ベジータとは複雑な関係になってしまったという。


それっきり、ずっと会えていない。


散々世話になったにも拘らず、結局彼に何の恩返しも出来なかったのだ。


いや、そうせざるを得なかったと言う方が正しいのかもしれない。


だが、しばらくの月日が流れ、現在ベジータはブルマと良い関係にある。


これも、一つの幸せが訪れる良い機会。リファは二人の仲を極力邪魔をしたくなかった。



「そんな事ないわよ!ベジータを上手く扱えるのはリファしかいないの!出来るならアンタも一緒に此処に住んで貰いたいくらいよ!?」


「え…えぇっ!?い、いや〜…そう言われてもですね…」



だが、ブルマはそんな事は全く気にしていない様子。寧ろ、リファとベジータをくっつけようとしているではないか。


これはこれで大問題だ。何としてでも阻止しなければ、この先の未来も危うくなる。



「大丈夫!アンタが相手ならベジータと何があっても許せるわ。だから、ね?お願い!」

「な、何言ってるんですか!何かあったらダメですよ!」



ギュッとリファの手を強く握りしめ、笑顔で頼み続けるブルマだが、リファは顔を引きつらせる事しか出来ない。


そして、まずはこの異常に近過ぎる距離を何とかして欲しいようだ。


いくら女同士とはいえ、互いの鼻と鼻がくっ付いてしまいそうな距離ではどうも話しづらい。



「…ふぅ……」



リファの心の叫びが届いたのか、ブルマは一旦彼女から離れ、溜め息をつきながら向かい側のソファーに移った。


一体どうしたというのだ。


不思議に思ったリファは、ブルマの様子をじっとうかがっている。



「ほ〜う……」


「ひっ!!」



すると、ブルマは突然何かを企むような不敵な笑みを浮かべた。


その顔が余りに恐ろしく、リファは肩を揺らさずにはいられなかった。


だが、ブルマ恐ろしい仕草は更に続く。


ソファーの肘置きに置かれている指が、次第にトントンと貧乏揺すりをするかのように動き始めたのである。


この後に来る言葉がとてつもなく怖い。別に悪い事をしているわけではないのだが、ものすごい威圧感を覚えたのであった。


だが、やはりリファの予想通り、落雷のごとくやって来てしまった。



「……孫くんは良くて、どうしてベジータはダメなのかしらねぇ〜?言っちゃなんだけど、どっちも境遇は同じよ?」


「……うっ!そ、それは……」



ピシャァアーっと、落雷が命中したかのようにかなりのダメージを受けてしまったリファ。


ブルマの言う通り、悟空もベジータも既に結婚している。


にも拘らず、ベジータだけを拒むのは明らかに不自然だ。


尤(もっと)もな理由はあるのは確か。だが、この先の未来に大きな影響を与えてしまう可能性もある為、迂闊に口には出せない。


このまま問い詰められ、うっかり口を滑らせてしまうよりも、彼女の頼みを素直に受け入れた方が賢明な判断なのかもしれない。



果たして、どうするのかーー。



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あきゅろす。
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