命を賭けて 今は亡き世界アトラスのように、次元に亀裂が走ってしまえば、この世界にも滅びが訪れるだう。 だが、もう止められないほど次元の歪みはかなり進んでいた。 「な、何だアレは!?」 「な、何あの穴っ…うわああっ!」 二人がそれに気が付いた時には、もう既に遅かった。 次元にはぽっかりと風穴が空き、高速回転するスクリューのような風の渦が現れてしまっている。 そして、それは物凄い勢いであらゆるものを吸い込み始めたのである。 「かっ、カミサマ!!」 ーーパシッ!! 瓦礫と共にその風穴へ吸い込まれていく地球の神の腕を、リファは危機一髪で掴んだ。 「…ぐっ!リファっ…もう止すのだ!このままではおぬしの腕がちぎれてしまう!」 片手は風穴に吸い込まれて行きそうになっている神の腕を掴み、もう片方は悟飯を抱いている。 この状態をいつまでも維持する事は、さすがに難しいだろう。 「…ダメです!あの穴に入ったら、二度と帰れませんよ!?」 「わたしの事は構わん!」 「カミサマが居なくなったら誰がこの地球を護るんです?ポポさんだって貴方の帰りをずっと待ってるんですよ!?」 「…しかしっ…これは地球の問題だ。おぬしまで巻き込むわけにはいかん!」 「どのみち、このままでは私も助かりません。でも、仮に1%だけでも望みがあったとすれば、私はそれに賭けます」 そう言うなり、リファは眉間にシワを寄せた後、フッと笑みを浮かべた。 「おぬし、まさか……」 リファの握る手が、段々と弱まっていき、彼女が放つオーラが神の身体へと纏い始める。 その感覚に気がついた神は、直ぐ様嫌な予感を働かせた。 己を犠牲にしてまでも、リファは自分を助けようと考えているのではないかと。 「リファ!もう止すのだ!おぬしにはやらねばならん事がある筈だ!このようなところで死んではならん!」 ーーパシッ!! 地球の神はリファの命を案じ、自ら手を離した。 、 [*前へ][次へ#] [戻る] |