非常事態
「わたしは死なんと言った筈だあああーー!!」
「なっ…なに!?」
「ぐあっ!!」
遥か先で、凄まじい叫び声が聞こえてきた。
悟空達が倒した筈のガーリックJr.のものである。いかなる致命傷を負ってしまったとしても、不死身である彼が死ぬという事は決してない。
「ぐっ…!ガーリックめ……執念深いヤツだ……」
声が発生した現地から二人がいるこの場所までだいぶ距離がある。
にも拘らず、その声の大きさはまるで拡声器で思いきり叫ぶような勢いだった。
更に、地球の神は人間の何倍も聴覚が優れている為、致命的なダメージを受けたようだ。
未だ彼は、もがき苦しむように両耳を押さえている。
「かっ…カミサマ、大丈夫ですか?」
心配になったリファは、神の背中に手を置きもう一度癒しのオーラを発動させた。
それにより、地球の神の表情が段々と和らいでいく。
「リファ、すまぬな……」
地球の神は、もう大丈夫だと申し訳なさそうに片手を挙げる。
だが、そうも悠長にしていられないようだ。
ーーゴゴゴゴゴ……
次の瞬間、地面が大きく揺れ始め、周囲のものは次々と崩れていく。
「な……な……」
リファはガーリックJr.の声が聞こえた方向を見つめ、口をパクパクさせる。
あまりの衝撃的な光景を前に、声もまともに出せないようだ。驚きというよりも、恐怖に等しいかもしれない。
次元に歪みが生じるこの感覚は、彼女にとって二度目になる体験であり、それは今でもハッキリと覚えていた。
そうして、彼女の世界は崩壊していってしまったのだ。
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