個人情報
しばらくすると、今まで俯き黙っていたリファがようやく口を開いた。
「……あの、ちょっとお聞きしたい事がありまして…」
それでも、遠慮がちな姿勢は変わらない。
「…うむ、わたしが答えられる範囲ならば答えよう」
神は優しく微笑み、全てを受け入れる態勢のようだ。リファは彼を見て安心したのか、数回頷くと真っ直ぐに彼の方を見て話し始めた。
「えっと、その…この子のお父さんの事なんですが……」
「ああ、孫悟空の事か……」
「ソンゴクウさん…とおっしゃるのですか…あの、その方は生まれた時からずっとこの星に住んでおられるんですか?」
「うむ…そうだな……」
地球の神は返答に困ってしまった。その人物がどのような性格なのかを知っているにしろ、やはり人様の情報に変わりはない。
いわゆる個人情報というものが、神の決断を妨げているようだ。また、神としても安易には話せないというのが本音である。
しばらくの間、沈黙が続く。
だが、彼自身気になる事は確かである。何故リファが悟空の事を知りたがっているのか。
それがもし、世界の滅亡と何か関わりがあるのならーー。
地球の神は、チラリとリファの方へ視線を向ける。
そこにあるのは、不安そうに自分の事を見つめる彼女の姿。
何か答えなければならない気にさせられ、徐々に神に焦りが見え始めた。
「…あ、あの……私っ……」
だが、リファの方から話を切り出そうとした。
その時である。
、
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