友達以上の存在
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「もう!何なのよ〜あの二人は!私の事散々バカにして!」
一方、怒りに堪え兼ねて、ラニアやタグラから逃げるように飛び出して来たリファ。
未だ怒りは健全のようだ。
いつまでも半人前扱いされ、納得のいかない様子。
ーーピタッ
「…二人に出会った頃はまだ追いつける距離だったのに…何でこんなに差がついてしまったんだろう…」
空中で止まるなり、自分の掌を見つめた。
リファは物心つく前に、このアトラス大神殿へやって来た。
両親が不在の為、養育という形でアトラス本部に引き取られたのである。
そこで初めて出会ったのが彼らだった。リファの言う通り、当時はまだ二人とも幼かった為、追いつける見込みはあったという。
だが、知らないうちにどんどん離されていき、気が付いた時にはもう手の届かない場所に彼らは居たのだ。
そう、それはまるで己の中の時だけが止まっていたかのように。
だが、それでも二人はリファを置いて行きはしなかった。
階級が上がれば、仕事も大幅に増える上に、仕事場も以前とかなり変わる。
よって、付き合う仲間も変わる筈だ。
それにも拘らず、 最低二人のうちのどちらかが、いつの時も見守るかのようにリファの傍に居て、彼女に手を差し伸べてきた。
リファをからかってばかりのラニアも、結局は彼女から離れないでいた。
「…私の事、今までも友達として見てくれているんだね…こんな頼んないのにさ……」
そんな事を呟くが、実際に彼らの行為は、友人の境界線を遥かに超えているだろう。
一体、何が彼らをそこまでさせるのだろうか。
ーーバッ!
全く分からず唸り声を上げていると、後ろから何かの気配を感じ、彼女は咄嗟に振り返った。
「一人で何をブツブツ言ってるんだ?とうとう末期症状か?」
「………あ…」
振り返らなければ良かったと、その時リファは後悔してしまった。
そこには、リファの部署の上司が青筋を立てながら待ち構えていたのだ。
「な、なんでこんな所に…」
「お前が仕事の途中で居なくなるからだ。言い訳は持ち場でしっかり聞いてやる」
「…ううぇ〜……」
案の定、彼女は首根っこを掴まれ渋々仕事場に戻って行った。
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