美しい寝顔の如く
「で、神さまに言われた通り、連れて来たぞ」
神を瓦礫から救出した悟空は、地面に寝かせていたリファを抱きかかえ、彼の前に寝かせた。
「う、うむ…すまなかったな」
彼にもぎ取られそうになった触角をさすりながら、地球の神は倒れているリファに目を向ける。
気を失っているが、彼女はとても美しく、まるで眠っているかのよう。
そんな彼女の姿を悟空もじっと眺め、時折眉をひそめる。
彼女が自分に言った言葉を思い出し、あれはどのような意味だったのか、どうしても気になったようだ。
自分は、今目の前に居る彼女と会った事があるのだろうか。
過去に似たような事があった。
自分が幼少の頃に出会ったチチと当時交わした約束も、彼女自身の存在さえも、何もかも覚えていなかった事が原因で、彼女を酷く怒らせてしまったという事だ。
忘れやすいのも大概だと、古い友人にも指摘されてきた。本人もそれなりに自覚はしている様子。
今度ばかりは問題にならないようにしたい。だが、それだけではない。
チチの時とは違い、悟空は何故かリファの悲しそうな顔を見たくなかったのだ。
どうしても、思い出したい。そんな気持ちでいっぱいだった。
だが、今は先にやるべき事がある。話はそれからだ。
ギュッと拳を握りしめ、そのモヤモヤを押し込んだ。
「…とりあえず行ってくる。神さま、こいつと一緒に此処に居てくれ」
そう言い残し、悟空は神に向かって親指を立てると、飛ぶように去っていった。
「…頼んだぞ。孫悟空……」
闘いはまだ始まったばかり。ここからが両者本領発揮といったところだろう。
DB 003 オラの悟飯を返せっ!(前編) 完
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