有り難みのない救出
「おーい神さま、生きてっかー?」
悟空は辺りをウロウロし、瓦礫の中から神の姿を探す。
これだけ荒れてしまえば、どこに居るのかも分からないだろう。
「お、ここみてぇだな」
だが、彼はいとも簡単に見つけ出してしまった。
とは言うものの、そこには何もない。ただ瓦礫が山積みになっているだけである。
まさか、その下に神が居るとでもいうのだろうか。悟空は、一旦リファを地面に寝かせ、その瓦礫を一つずつ退(ど)かし始めた。
「あっ!出てきた!」
どんどん瓦礫を退かしていくと、先端に丸い突起がついた植物のようなものが二本、ピョコっと顔を出した。
勿論それは植物などではない。神の頭についた触角である。
それを知って上での行為だろうか。悟空はその触角をガシッと掴み、力一杯に引き上げた。
「痛い痛い痛い!!止せ!!何をしおるか!」
すると、やはり彼の言った通りで、地球の神の顔が瓦礫と共に出てきた。
もう少しで別の人物になってしまうところだったと、彼は青ざめた表情で真剣に訴える。
「なーに、神さまなら大ぇ丈夫だって。この触角もまた生えてくんだろ?オラ、そんな事よりも神さまがこの下で死んじまってる方がイヤだぞ」
どうやら先程の行為は、神に痛いと悲鳴を上げさせる事によって、その生存確認をする為のものだったようだ。
とはいえ、かなり残酷な行為である。
「…わたしは己が違う者になる方が恐ろしいぞ……」
「…ははっ!確かに神さまのそれが無くなっちまったらタダの緑色の生き物だもんなっ!」
後頭部を掻きながら、はははっと愉快そうに笑う悟空だが、 その裏で何かを抱えているようにも見える。
「それより、孫悟空……」
「ん?何だ?」
「早うここから引き上げてくれんか?」
「…………」
未だ首から下が瓦礫に埋まった地球の神にハッと気がついた悟空。
やはり何かの植物に見えてしまい、柄にもなく引き抜くのにかなり戸惑ったという。
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