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涙の理由






「だが、たとえ命永らえても、何も出来なければそれこそ地獄。その苦しみを今味わわせてやろう」



「くっ…おのれ……っ!」



空から降りてきたのは、ピッコロだ。そして、もう一人。


リファは、そのもう一人の男にそっと抱きかかえられていた。



「…おいっ、大ぇ丈夫か?」



それがこの男、孫悟空である。


彼はペチペチとリファの頬を軽く叩きながら、意識があるか確認した。



「うっ…だ、だ…れ……?」


「悪りぃな。悟飯のこと任せちまって…後はオラ達に任せろ」


「…はい…ありが……」


「……………」



「……………」




「……………」



ーードクンッ!!




おもむろに頷くと同時に目を開けると、うっすらと彼の顔が見える。


その姿を目にした瞬間、リファの心臓が大きく揺れ動いた。


徐々に速くなる心臓。


それは、彼女が何百年間も祈り続けてきた想いに比例しているかのよう。


同時に驚きや嬉しさ、そして懐かしさが込み上げてきた。



「お、おい!どうしたんだ!?どっか痛ぇんか?」



一方、リファの気持ちなど全く知らない悟空は、彼女の方を見るなり、驚いた表情を浮かべた。



ーーツー……



様々な感情が混ざりに混ざって、その塊が涙に変わり、彼女の頬を伝う。


リファは悟空の頬に手を伸ばし、力なく笑った。



「…また、あなたに助けられました…でも…会えて…良かった……」



それだけを言うと、リファは完全に意識を手離した。



「…おめぇ……」



だが、悟空は何か言いたそうだったが、無言のままリファの涙を指ですくい取る。


そのまま地球の神の元へ向かった。



「お、おい孫!どこへ行く気だ!?」



まるで戦いを放棄するような悟空の行動に、ピッコロが彼の背後から慌てて呼び止める。


すると、悟空はピタリと止まり、振り返らずに答えた。



「…悪りぃな、ピッコロ。少しだけ時間、稼げっか?」


「ふざけるな。このオレを誰だと思っていやがる。貴様の出番は無いかもしれんぞ」


「…へへっ、そいつは頼もしいな……」



結局ピッコロは、しばらくの間ガーリックJr.と一対一で対峙する事になったのだった。

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