天使みたい
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「ハア…ハア…なかなか出口、見つからないね……」
一方、ピンチのところをピッコロに助けて貰ったリファは、悟空の息子である悟飯を抱きかかえながら、出口を探し続けていた。
どれだけ階段を上がり下りしても、フロアを走り回っても、一向に出口が見つからないようだ。
邪気に犯され続け、徐々に侵食されていくリファの身体。
走るペースも落ちてきている。額から大量の汗が流れているが、止まる様子はない。
そんな彼女の姿を、悟飯は心配そうに見つめていた。
「大丈夫だよ。絶対出口、見つけるから心配しないで?」
そう言うなり、リファは悟飯に向かって優しく微笑んだ。
「でも…お姉ちゃん、ボクと初めて会ったのにどうして……」
悟飯は、以前母親から言われた事があった。
知らない人には絶対について行ってはならない。周りの者は皆、魔の心を持っている為、簡単に信用してはならないと。
母親の言いつけを堅実に守りながら生きてきた悟飯。初対面の相手に出会う度に、父である悟空の後ろに隠れては様子をうかがうようになった。
だが、リファと出会った時は違った。警戒するどころか、自分から話しかけてきた事を、彼女もよく覚えていた。
悟飯曰く、彼女からは何故か悪の気を全く感じず、何か惹きつけるものがあったという。
「あははっ!お姉ちゃんには、そんな大した力はないけどね……」
リファは申し訳なさそうに笑うと、一旦立ち止まる。どうやら体力に限界がやって来たようだ。
先程の爆発で途中からなくなっている階段に腰を下ろした。
「…でも、困っている人を幸せへと導く事が出来ればって思うよ。みんなの笑顔、お姉ちゃんもずっと見ていたいからね」
「なんだかお姉ちゃん、天使みたい!さっきも羽が生えていたもんね!」
「そっ…それは多分見間違いか何かじゃないかなあ…そんな、羽が生えてる人間なんて…ははっ……」
思いっきり正体バレてるのは何故でしょうねえ!
オーラを解くあの一瞬の行為を見られていたなど、そんな凄まじい動体視力を人間が持っている筈がないと、リファは油断してしまっていたようだ。
この予想外な事態を前に、流石に新しい言い訳を考える余裕もない。
只々、笑ってごまかすより他なかったという。
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