誰かを想う者の為に
だが、ただじっと待っているだけではどうも落ち着かない。
リファは、如何にして地球の神を助けようかを考え始めた。
とりあえず、これまでの記憶を辿ってみるのが一番だろう。その場に座るなり、目を閉じた。
「…そう言えばカミサマは、しぇんろん…って言ってたよね……」
最も気になったのは、消える直前に地球の神が放った言葉だ。
だが、それだけでは手掛かりが少な過ぎる。何の事かサッパリ分からず、頭を押さえてしまった。
「神龍はポポが作った。ポポが作ったもの、神様が命吹き込む」
答えが見つからず、唸り声を上げていると、ミスター・ポポが彼女の隣へやって来るなり、説明を始めた。
リファは閉じていた目を開け、ポポを見上げる。
「ブラックさん……」
「ブラックじゃない。ミスター・ポポ」
「…す、すみません……」
彼の顔を見ると、つい間違えて呼んでしまうらしい。
だが、彼のその無表情の顔がいつ変わるかしれないと思うと、恐ろしくて仕方がない。
彼に限ってではなく、人の名前は正確に覚えるべきだろう。
だが、ミスター・ポポの表情は変わらず、何事もなかったかのように会話が始まった。
「下界にはドラゴンボールという玉が存在する。これ、神龍呼び出す為のもの。7つ全部揃えると神龍が現れて願い叶えてくれる。今の状況がそう」
「…ドラゴンボール…ですか。じゃあ、そのしぇんろんとやらを誰かが呼び出したんですか?」
「…さっき神様が言ってた者達かもしれない。イヤな予感…邪悪な気を感じる」
「…えっ!?そんなっ…カミサマ一人で大丈夫なんですか?」
「…分からない。でも無事に帰って来てくれると願うしかない」
相変わらず表情のないミスター・ポポだが、地球の神の事を相当心配しているのだと、リファには痛いほど伝わっていた。
だからこそ、抑えきれなかったのだろう。
「…リファ?どこに消えた?ポポ、おまえの姿、急に見えない」
目の前に居た筈のリファの姿が突然消えてしまい、ポポは目を見開いた。
キョロキョロと辺りを見回してみるが、やはり彼にも未だ目の前に居るリファの姿は見えていないようだ。
「…私、やっぱりカミサマの所へ行きます!ごめんなさい!」
そう言うなり、自分に背を向けているポポに向かって申し訳なさそうに頭を下げた。
そして、七色の翼を広げ、神殿から飛び降りた。
その時だった。
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