歴史を繋ぐ為に
それはーー。
「真実は必ず別の場所にある。リファ、それを見つけ出せるのはお前しかいない。だから……」
「…生きて、歴史を繋げ…る…」
そう、それは崩壊前にラニアが残した言葉だった。
当時のGZや、リファを助けたサイヤ人は、周りから誤解をされたまま虚しく消えていった。
それがどうしても納得出来ず、リファは怒りと悲しみを抑えながら、彼と約束した。
アトラス界から消えてしまった光を再び取り戻すと。
だが、アトラス界は既に崩壊してしまった。
世界が滅びてしまった以上、光を取り戻す事など無意味な行為にも思える。
それでもリファは信じていた。アトラス界を取り戻す方法が必ずどこかにある筈だと。
彼女のその瞳には、決して揺るがない強い決意が映し出されている。
そんなリファの姿を、地球の神はじっと見ていた。
「…やはり、何か特別な事情があるようだな……」
「……っ!」
意味深なその発言にリファは酷く反応し、思わず身構えた。
「案ずるでない。おぬしの心は読んでおらんよ」
誰だって言いたくない事、知られたくない事があるのは当たり前。
いくら神だからといって人の心へ無闇に土足で上がり込むつもりはないと、地球の神は何度か頷き、リファの頭にポンと手を置いた。
「…カミサマ……」
リファは、そんな彼の優しさに心打たれ、ぼやけてきた目を擦った。
そんな彼女に向かって、地球の神は微笑むと少しずつ距離を作っていく。
やはり、リファを下界に連れて行けない事実は先程と変わらないようだ。
だが、地球の神がここまでして彼女を気にかけるのには、何か他に理由があるようにも思える。
それは、リファが星を守護するという使命を持った貴重な存在だからなのか。
何にせよ、地球の神が何かを感じ取っていた事は確かである。
だが、いくら神でもその詳細までは見えなかった。
リファがいずれ、ある者達を支え生きる存在となるという事実が明らかとなるのは、まだ先の話である。
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