私が参ります
「…ゴホンッ!時にリファ、すまぬが暫しの間だけこのミスター・ポポと共に過ごして貰いたい」
地球の神は、このギャグに溢れた空気を入れ替える為咳払いをし、話を切り出した。
「…カミサマは?どこかへ行かれるんです?あ、さっき仰っていたゲカイという場所ですか?」
リファは腰を上げ、手に持っていた木の枝を大事そうに懐へしまうと、神殿の下を覗き込む。
さり気なく、話の内容の一部は聞いていたようだ。
リファがそう問うと、地球の者は目を閉じ、フッと笑った。
「うむ、地球の神はわたしだ。星の危機に悠長にはしておれん」
「それなら、私が参ります。惑星とカミサマを含む全ての者をお守りするのが、アトラス聖霊の使命ですから」
そう言うなり、リファは地球の神の服の裾を掴む。
どうやら、神の瞬間移動とやらで連れて行って貰う気で満々のようだ。
「なっ!?何を申すか!おぬしはまだ生きておる!徒(いたずら)に命を落とす事はない!」
地球の神は、リファの無謀な発言に驚き、行かせまいと自分の服の裾を掴む彼女の手をそっと掴んだ。
現在、リファの移住先は閻魔大王が検討している最中である。
彼女を預かっているのは他でもない、地球の神だ。勝手な判断は許されないだろう。
そして、今彼女が向かわんとしている場所は、正しく戦場。
そのような所へ、か弱い少女一人が向かえばどうなってしまうかは、神眼でなくても目に見えて分かる。
リファはまだ生きている。折角助かった命を、そのような形で落とすのは余りに不憫過ぎると地球の神は言う。
それと、もう一つ。
「恐らくだが…おぬしにはまだやるべき事がある。ゆえに生かされたのではないかと思ってな」
そう、彼が指したのはリファの存在意義である。
「…やるべき、事……」
地球の神にそう言われ、リファの動きが一瞬止まる。
アトラス界の崩壊により、しばらくの間考える余裕もなかったが、今思えば彼女は最も大事な事を忘れていたようだ。
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