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ミスター・ポポ






だが、それが何者なのかを問うタイミングをまた逃してしまった。



ある人物の登場によってーー。



「…神様、たいへん。この邪悪な気…このままだと地球、危ない」



全身が真っ黒で、ターバンを巻いた男が現れた。



「んなっ……!?」



跪いていた身体を慌てて起こし、ザッと後退りするリファ。


何を考えているのか分からないその丸い瞳に吸い寄せられそうになり、彼女は慌てて彼から目を逸らした。



(何…この黒い人…黒過ぎて前か後ろか分かんない…そうか…名前はマハラジャー・ブラックってとこかな )



失礼にも勝手に名前を予想し始めた。だが、気になって悶々したくなる気持ちは分からなくもない。



「…ミスター・ポポか」



地球の神は、彼の事を【ミスター・ポポ】と親しげに呼んでいる。どうやら知り合いのようだ。



(ミスター・ポポか…)









うむ、おしかったな!




一人後ろを向き、パチンと悔しそうに指を鳴らすが、何を聞いておしいと思ったのだろうか。


おしい以前に、合っている箇所すら見当たらないではないか。


一人でそんな事を考えている間、地球の神がプルプルと肩を震わせていた事を彼女は知らない。


神に笑われるなど、寧ろ知らない方が幸せである。



「…リファ、この者はミスター・ポポ。わたしの古くからの同胞だ」



そう言うなり、地球の神は口元を押さえたままその男の隣に立ち、リファに彼を紹介した。



「よろしく、リファ」



ミスター・ポポは両手を合わせ、軽くお辞儀をするだけで、彼女の事をそれ以上詮索しようとはしなかった。



「………」



リファは恐る恐る振り返り、視線をもう一度真っ黒い彼の方へ向けていく。




「…ひえっ!?」




だが、先程と状況は変わらず。再びその瞳に吸い寄せられそうになった。


それにより、身体のバランスが一気に崩れ、尻餅をついてしまった。


すると、その原因である張本人がリファの前までやって来るなり、その場にしゃがむ。



「怖がらなくて良い。ミスター・ポポ、神様の付き人。怪しい者じゃない」



そう言うなり、ミスター・ポポという男はリファに手を差し出した。


どうやら握手をしたいらしい。



「…えっと…私はリファイン・レクラーク・バートレットです。リファとお呼びください。あの…よろしくどうも」



握手を促され、リファは渋々その手を握り締めた。



「…おまえ、心キレイだな。人間じゃなさそう」



リファの手を握ったまま、ミスター・ポポは彼女の瞳を凝視しながら呟く。



「…は、はあ……確かに私、人間ではないですが…心は別にキレイってわけじゃないと思いますよ」



「イタズラも大好きだし」と付け加え、片方の手で頭を掻きながら笑ってみせるリファ。



「おまえ、うそつかない。正直な人柄、神様気に入ってる。ミスター・ポポも同じ。おまえに興味ある」


「あはは……そう言ってくれるのはありがたいです」



いつも貶されてばかりだったせいか、これ程にも褒められると、逆に照れ臭い気持ちになる。


リファは若干頬を染めていた。



「でも、一つだけ言っておく。ミスター・ポポ、肌の色真っ黒だが【マハラジャー・ブラック】じゃない」


「…はははっ…ですよねー……」









そんなホイホイと心読まんでくださいっ!



その照れ臭さが別のものに変わるまで、そう時間はかからなかった。


恥ずかしさのあまり、穴があったら入りたい気持ちになったという。


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