死者との区別 「…死んでいないって、どういう事ですか?」 リファは、自分が死んでいないというその根拠を魂達に問おうとした。 が、それはある者の登場により、出来なくなった。 「コラあああああーー!またお前達か!」 「ーーんなっ!?」 思わずビクッと肩を揺らす。 遠くから、何者かの怒鳴り声が聞こえてきたのである。 その声は徐々に近付いてくる。とてつもない砂埃と共に。 「…何かお怒りみたいですが…大丈夫なんですか?アレ……」 もう間近まで来ているその者に目を向けながら、リファは彼らに何か悪い事でもしたのかと問うた。 「…い、いやあー、オレ達はな〜んもしちゃいねえぞ!なっ?お前達!」 「そうだよー。僕達はな〜んもしてないよ。審判受けずにずぅ〜っと彷徨ってなんかいないよ〜」 「してない〜してない〜」 「バカタレ!自分からバラしてどうすんだよ!」 「バカタレなのはお前達だ!さっさと列に並ばんか!!」 やって来たのは、頭の両端に角が生えたスーツ姿の男だった。 「…まったく、何度言えば分かるんだお前達は……いい加減にしないと閻魔様が……ん?」 腰に手を当て、頭から湯気が噴き上がっている。 湯を沸かしてカップラーメンを頂けそうな勢いである。 だが、全てを言い終えようとした時にリファの存在に気付き、自身がかけているメガネをクイっと上げた。 「…アナタはどちら様で?どこから来られました?」 「…あ、えっとー…その……」 急に話しかけられ、リファは答えるタイミングを逃してしまった。 「ふむ、よく見ればアナタ……死んでおられませんね?」 「……え?」 先程も魂達から同じ事を言われたが、その理由が全く分からない様子。 だが、その男の目線が自分の頭の方にあった為、何かあるのだろうかと思ったリファは、彼の目線の通り上を向いた。 だが、何もない。 リファが理解に困っていると、その男は今度は自分の頭の上を指し、言った。 「死んでいる者は皆、頭の上に輪光が存在するんですよ?」 そう、死者か生者かは、頭上にある輪光があるか否かで判断出来るのである。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |