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願望






「待って…待ってください…ラディッツさん……」


「チッ…あの女、目覚めやがったか…厄介な事になりそうだぜ……」



背後から現れたのは、先程まで意識を失っていたリファだった。


面倒臭そうに溜め息をつくラディッツ。そして、渋々悟空の脇腹から足を離した。



「リファ…おめぇ……」


一方、悟空はリファの登場に驚き、目を見開いている。


まさか彼女が本当に目を覚ますなど思っていなかったらしい。


やはり、ラディッツの言った事は嘘ではなかった。もしかしたら、さっきの話も本当なのかもしれない。


そう思った悟空は脇腹を押さえながら、ゆっくり半身を起こした。



「ご、悟空さん…っ……」



悟空の姿を見つけたリファは、一目散に駆けて行く。



「……っ!?」



だが、その姿が瞳に鮮明に映った途端、足がピタリと止まった。


目を塞ぎたくなる程負傷した彼の姿に、大きなショックを受けてしまったようだ。



「悟空さん…っ…なんて酷い……」



よろめきながらも、彼の方へ近付いていく。



「来るなっ!」



だが、あともう少しというところで腕を掴まれ、制されてしまった。



「ラディッツさん…どうして……」



腕を掴んだのは、ラディッツだ。


思わずリファの表情が歪む。彼女にはどうしても理解出来なかった。


何故ここまでする必要があるのか。サイヤ人は共に手を取り合い、生きる事は絶対に出来ない種族なのか。


そんな筈はない。


何かに焦っているような余裕のない表情に、それを物語るように流れ出ている大量の汗。


やはりラディッツは何かを隠しているに違いない。自分が気を失っている間に、何かがあったのだろう。


リファはギュッと唇を噛み締め、泣きたいのを抑えながら彼の返答を待った。



「…こいつはオレ達サイヤ人の問題だ。お前には関係ない。離れてろ……」


「できません!だってラディッツさん…さっき言ってくれたじゃないですか!私に協力するって……」


「…勘違いするな。カカロットを生かしておくとは言っておらんぞ……」


「そ、そんなっ……」


「さっきも言った筈だ。サイヤ人にはサイヤ人の生き方がある。闘う事こそがオレ達の使命なんだとな……」


「じゃあ…じゃあ、ラディッツさんはどうして悟空さんに手加減なんてするんですか?」


「…なに……?」



予想外な事を問われ、ラディッツはピクリと反応した。動揺の表れだろうか、瞳がユラユラと揺れ動いている。


その表情を、リファは一瞬たりと見逃さなかった。


自分の手首を掴んでいるラディッツの手を反対の手で掴み、彼の心の中を探り込むように更に問うた。



「私…さっきから見ていたんですけど…ラディッツさん…悟空さんを痛めつけるように見せかけて、さり気なく急所を外していましたよね……?」


「…フン…そんなバカな事…このオレがすると思うのか?」


「で、でも……!」

「くだらん事を言ってないでさっさと消えろ!カカロット諸共死にたいのか!?」


「……っ!」



突然大きな声で怒鳴られ、反射的にリファの肩が竦(すく)み上がった。


怯えるようにギュッと目を閉じている。だが、それでも彼女は必死に伝えようとしていた。


兄弟である二人には、どうしても分かり合って欲しかった。


離れ離れになってから気が付いても、後悔と悲しみが増えるだけ。


今、この瞬間こそが大切なのだ。



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あきゅろす。
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