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崖っぷちでのチャンス

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一方、ラディッツに向けて放ったピッコロの大技、魔貫光殺砲は命中したのだろうか。


こちらでは、まだとてつもない黒煙がむせる程に上がっている。


そんな中、ピッコロはゴクリと生唾を呑み込み、結果を待っている。



「っ!!?」



次の瞬間、彼の目が大きく開かれた。額からは尋常ではない程の汗が流れ落ちている。



「よ…よけやがった……!な…なんて野郎だ…あ…あのスピードを……」



どうやらラディッツはよけてしまったらしい。


だが、右側の肩当てが見事に貫かれ、少し掠ったのだろうか、肩を負傷している。



「この鎧を簡単に貫いていきやがった…なかなかの技だ…まともにくらったらアウトだったぜ……」



ラディッツは、右腕に手を添えながら苦笑を浮かべている。


彼自身、それほど余裕があったわけではなさそうだ。スピードも威力も、その大技に限ってはラディッツと互角或いはその上をいっていたかもしれない。


戦闘民族サイヤ人が認めるくらいだ。その技はかなり優秀と言えるだろう。



「あ…当たらなければ意味がない……」



ピッコロの言う通り、どんなに強力な技でも命中しなければ全くの意味を成さない。


そして、その技の欠点は気を溜めるのに長い時間を必要とする事で、そう何度も撃てる技ではない。



「貴様、許さん…許さんぞ!もうお遊びはこれまでだ!一瞬で消してやる!」



ラディッツが本気を出す前に、今ここで勝負を決めておくべきだったのだ。


だが、既に時遅し。


自分の身体に傷をつけられ、とうとうブチ切れたのか、ラディッツはとどめをさそうと左手を上に挙げる。


気功波を放つつもりなのだろう。挙げた左手から、バチバチとエネルギーの塊のような凄まじい気が急激に増え始めている。



だが次の瞬間ーー。



「…っ!?お……おおお…う……」



突然悶え苦しむような声を上げ、動けなくなってしまった。


一体何があったというのだろうか。


ラディッツの攻撃に備えていたピッコロも、どうしたのかと不思議そうに見ている。


まさかと思いながらも、ラディッツも震える身体で恐る恐る振り返る。



するとーー。



「へへ…油断したな…シッポ掴んだぞ!」



ラディッツの予感的中といったところだろうか。そこには、後ろからラディッツの尻尾を握る悟空の姿があった。


見事な連携プレイ。ナイスだ悟空。


先程まで立ち上がれない状態だったせいか、ラディッツはそんな悟空につい油断してしまっていた。


恐らく彼は、その機会をずっと待っていたのだろう。


更にギュッと尻尾を握る力を強めると、ラディッツは力が抜けてしまい、とうとう倒れ込んでしまった。



「き…貴様…っ!い、いつの間に……」


「ピッコロ!今だ!もう一回今のやつを…!」


「あ…よ、よし……!」



サイヤ人の弱点が尻尾である事は、カメハウスへ向かっている時に悟空達の会話を聞いていた為、既に把握済みだったピッコロ。


だが、まさかここまで効果があるとは思っていなかったようだ。


しばらくその場に立ち竦み、悟空の呼びかけにうっかり反応が遅れてしまった。


だが、すぐに指先を額に当て、気を集中させ始める。



「へっ…ヒヤヒヤさせやがって…でかしたぞ孫悟空…!しっかりシッポを捕まえておけ!この技はあと一回が限界だ……!」



これ程のチャンスはもう二度と巡って来ないだろう。ピッコロは全ての気を使い切る勢いで、一気に溜め始めた。


先程は運悪くもよけられてしまったが、次は確実に命中させられる筈だ。


余程の事がない限りーー。



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あきゅろす。
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