作戦A
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その頃、悟空達はーー。
「どうした、もう終わりか?さっきまでの元気はどこへ行った?グズグズしておるとあの女を助けられんまま終わってしまうぞ?」
あれから、悟空とピッコロは何度も何度もラディッツに挑み続けたが、やはり変化はなかったようだ。
今も尚、かかって来いと挑発するラディッツに対し、これ以上立ち向かう気力も体力も残っていない。
仙豆さえあれば、話は別だがーー。
すると、ピッコロが隣で息切れしている悟空にボソッと小さな声である事を問うた。
「おい孫悟空、貴様…新しいとっておきの技はないのか?」
そう、それは『かめはめ波』以外の必殺技などはないのかという事だ。
悟空がピッコロと闘ってからもう数年は経過している。
闘う事しか頭にない戦闘マニアならば、この数年間何もしていないなどある筈がないと思ったからだろう。
「へへ…すまねぇな…ハッキリ言ってねぇよ……」
「チッ!手を抜きやがって……」
だが、ピッコロの僅かな期待も砕け散ってしまった。
よくよく考えると、今この時までに必死で修業をするもっともな理由などなかった。
このような事になると過去の時点で分かっていれば話は別だが、あの神でさえも未来を確実に予知する事はできない。
出来るとすれば、直感に任せる事だけ。
「オレは真面目に修業して新開発したってのによ……」
だが、ピッコロは違った。
悟空を倒すという事だけに、ただひたすらに執念を燃やし続け、更に上を目指していた彼は、修業に修業を重ね、やっと大技を完成させたらしい。
果たして、威力はどれ程のものなのか。
「何をコソコソ言ってるんだ?どう作戦を立てようが無駄だ!さっさとくたばってしまった方が楽だぞ!?」
悟空がピッコロにその詳細を問おうとすると、ラディッツが話に割り込み、邪魔を入れてくる。
だが、悟空は彼の挑発を軽く流し、ピッコロに続きを話すよう横目で合図した。
「ピッコロ、そのとっておきの新しい技ってのは…片腕でもできんのか?」
そう問うなり、ピッコロのなくなった片腕をチラリと見る。何度見ても痛々しい。
たとえそれが再生可能だとしても。
「ああ…それは大丈夫だ。だがこの技は気を高めるのにやたら時間がかかる……」
どんな技にも欠点がある。その威力が高ければ高いほど、リスクは大きい。
それを回避する為には、やはり悟空の協力が必要という事になる。
一方、ラディッツは薄ら笑いを浮かべ、拳に力を入れている。早く殺したくてウズウズしているようにも見える。
「貴様、その間ヤツと一人で闘って注意を引きつけておいてくれ」
「わかった…その技、アイツに効くんか?」
「多分な。これが効かなければ、もうヤツを倒す手はなかろう…貴様をぶっ殺す為のとっておきだったんだがな……」
初めて試す相手が宿敵の悟空ではない事が悔しいのか、ピッコロはグッと拳に力を入れた。
「逆に助ける事になっちまうのかな?」
「へっ!もしヤツを倒す事が出来たんなら、次は貴様の番さ……」
「ははっ…そっか……」
「くっくっ…笑ってる場合じゃなかろう……」
ピッコロにそう言われるが、悟空はそれといって気にはしていなかった。
何となく分かっていたのだろう。ピッコロはもう自分の敵ではないという事を。
「…笑ってやがる…開き直ったか……?」
一方、その様子を遠くから見ていたラディッツはこの非常時に呑気なものだと呆れていた。
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