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片腕負傷

※流血シーンあり






「ククク…二人がかりでこれでは、まるで話にならんな」



余裕の笑みを浮かべ、二人を蔑んだ目で見下ろすラディッツ。


一方、悟空は身体を震わせながらも立ち上がろうとしている。


口元に負った傷を拭うなり、視線を足元に移した。



「ち、チキショー…大ぇ丈夫か!?ピッコ…っ!?」



そして、すぐそばにいるだろうピッコロに声をかけるが、衝撃的な事態に思わず目を見開いた。



ーーポタッ……ポタッ……



地面に紫色の血が大量に垂れ落ち、血溜まりを作っている。


他でもない。先程ラディッツの気功波によって負傷したピッコロのものである。


だが、それだけではない。ピッコロの腕からその先が無くなっていた。



「安心しろ。片腕くらいなくても何とか戦えるぜ」



左腕を押さえながら、苦笑を浮かべるピッコロ。


本人は大丈夫だと言うものの、戦況はかなり悪い方向に向かっている事に変わりはない。


やはり、ラディッツという人物は想像以上の力の持ち主だ。これでは本当に手足も出ない。



「はっはっはっは!!いよいよ貴様達の死が近付いたようだな!!」


「ぐっ……!」


「くっそ〜〜…どうすりゃあ良いんだ……」



悟空とピッコロは高笑いするラディッツの姿を、ただ歯をくいしばって見ている事しか出来ないでいた。



「情けないヤツめ…だから貴様にヤツを任せられんというのだ!」



ーーすっ・・・



どこか苛立ちを感じたラディッツは、再び掌を悟空達に向ける。


気功波を打つ合図だ。手の先にとてつもない気が集中し始めている。


そして、僅か一秒も経たないうちに、気功波は彼らの方へ勢い良く放たれた。



ーードゥッ!!

「危ねぇっ…!」




ほんの一瞬で、彼らに向かって飛んできた強力な気功波。


咄嗟に地面に滑り込むようにして這いつくばる。


気功波は、丁度彼らの頭上スレスレを通り越し、そのまま遥か上空へ飛んで行った。


間一髪である。



「もうよけるだけで精一杯か?その程度の力でこの星を守るなんぞ、よく言えたもんだ」



掌を元に戻した後、ラディッツはチラリと宇宙船の方を見やる。その時、一瞬だけ彼の雰囲気が変わった。


たとえるなら、まるで猛獣が狩るべき獲物をじっと見守るかのよう。


たった一瞬だけだが、彼に殺意が消えていたのである。


一方、気功波をよける為に咄嗟に地面へ這いつくばった悟空は、震える身体に耐えながらも立ち上がり、再び構えを取る。



「へっ…言っただろ…ただ強きゃ良いってもんじゃねぇ……」



ラディッツの言った通り、悟空もピッコロも立っているだけで限界の様子。


だが、それでも悟空は笑っていた。恐怖の連続で、思考が麻痺してしまったのだろうか。



「ほう…笑わせやがる。では見せてみるが良い!強さ以外でこのオレを負かす方法を!」


「そうやってデケェ口叩いてられんのも今のうちだ!絶対ぇおめぇを倒してみせる!」



だが、そうではなかった。悟空はまだ完全に希望を失ったわけではない。


いつか相手が見せる隙をじっとうかがっているのだ。


だが、その為には彼の攻撃を防ぎつつ立ち向かうしかない。


悟空、ピッコロ、風向きはきっと変わるぞ。それまでどうか持ちこたえるんだ!



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あきゅろす。
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