アリと猛獣
ーービッ!!
「っ!?」
ーードガッ!!
それは、ほんの一瞬の出来事だった。
正面から向かってきたと思いきや、一瞬にして消え後ろへ回り、二人の背中に肘打ちを食らわせたのである。
たったの一発だが、ダメージはかなり大きい。
悟空もピッコロも共に地面へ身体を打ち付けられそうになった。
その直後、悟空は倒れそうになっていた身体をグルンと体勢を変え、一旦両手だけを地面に付ける。
そして、その両手で跳躍するように一回転すると、今度は足から着地した。
一方、ピッコロは何度か地面を蹴り、バランスをくずしかながらも着地した。
(は…はええ…っ!何てスピードだ……!!追いつけねぇ……っ!)
(正面から向かってきたのに、一瞬にして…後ろから攻撃してくるとは……)
一瞬で起こった出来事が未だ信じられず、驚いた表情でラディッツの方を見る悟空とピッコロ。
「ほう…防御だけはなかなか高いようだな…だが、貴様らが死ぬのも時間の問題だ。ジワジワと少しずつ攻撃を強くしていってやるぞ」
一方、ラディッツは余裕の笑みを浮かべている。恐らく、現状はまだ遊んでいる程のレベルだろう。
(こ…こうまでレベルが違うとは……!)
(な…何とかシッポを握って力をなくさせねぇと……)
これが戦闘民族サイヤ人の生まれ持った才能なのかと、度肝を抜かれた。
実力だけでは確実に彼らの方が不利。二人居るからといっても、これでは二匹のアリが一匹の猛獣に挑んでいるようなものだ。
手も足も出せない。この状況から打破する事は出来ないのだろうか。
「そうだ貴様ら、死ぬ前に良いことを教えておいてやろうか……」
だが、悟空とピッコロに迫る衝撃はこれだけに留まらない。更に厚い壁が二人の前に立ちはだかったのだ。
それが、ラディッツの重い一言である。
「オレの他に生き残った二人のサイヤ人は……」
更に戦闘力が上なんだぞ
「っ!?」
「!?」
あまりの衝撃で、リアクションさえもまともに取る事が出来ない。
どでかい重力がずっしりと全身にのし掛かってくるような感覚に襲われ、身動きが取れなかった。
、
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