戦闘開始!
「ククッ…やはりそうくるか」
予想通りだと、満足そうな笑みを浮かべるラディッツ。
リファを抱えたままくるりと踵を返すと、再び宇宙船の方へ向かった。
*****
到着するなり、ラディッツは悟飯が入っている宇宙船の隣にリファをそっと寝かせた。
「………」
このまま立ち去るのかと思いきや、意識を失っている彼女の顔をじっと見つめ、動かない。
ーースッ……
ラディッツはリファの前髪を掻き上げ、額に触れる。
そして額から手を滑らせ、そのまま頬へと移動させる。まるでその存在感を確かめるかのように、何度も何度も手を滑らせる。
リファの身体には僅かな温もりがある。先程ラディッツが自らの気を彼女に送り込んだ事によって、一命を取り留めたのだ。
(…何をやっているんだ…オレの目的はただ一つ、だろ……)
彼女には利用価値がある。その時はそう思っていたようだが、今となってはよく分からないようだ。
困惑しているのか、彼女に触れている手がプルプルと震え始める。
そして、彼女の頬からそっと離した手をギュッと握り締めると、フッと力なく笑った。
それは、まるで何かを悟っているかのような表情だった。
去り際に何かを伝えたかったようだが、言葉を発する事が出来ない。今の彼にとって、その行為こそが精一杯の訴えなのだろう。
先程放り投げたスカウターを再び拾い上げると、従来のように左耳に装着した。
相変わらずスクリーン上に浮かび上がっていた妙な警告は消えないままだ。
ーーザッ!
二人の元へ戻ってくると、彼らの微妙な変化に気が付き、ニヤリと笑みを浮かべる。
彼がその場を離れている間に、悟空とピッコロは普段身につけている重りを脱いでいたようだ。
ラディッツは、スカウターのスイッチを入れるなり、彼らの戦闘力を計測し始めた。
スクリーン上に数値が表示された。ピッコロは【408】、悟空は【416】と先程より戦闘力が格段に上がっている。
だが、ラディッツの表情は変わらない。
「ふはははははっ!貴様ら、それで強くなったつもりか!!」
変わらないどころか、二人を蔑むように高笑いし始めた。
「笑わせやがって…!その程度の力であの女を守れるとでも思っているのか!?身の程知らずとはこの事だ! 」
「勝負ってのはただ強きゃ良いってもんじゃねぇよ!こっちにゃ作戦があんだ!」
悟空は拳を握りしめ、ラディッツに反論する。
その言葉を聞いたピッコロは、悟空の方をチラリと見やる。悟空がカメハウスに居た時に話していた内容を大半聞いていた為か、それ程に反応を示さない。
作戦というのは勿論、サイヤ人の弱点であるシッポを握り、戦闘不可にする事である。
額から汗を流し、苦笑を浮かべている事から、その作戦は不可能に近い事を彼自身も大いに自覚しているのだと思われる。
だが、闘いというのは最後まで何が起こるか分かったものではない。
もしかすると、悟空はその未知の可能性に賭けているのかもしれない。
「利いた風な事を抜かしやがって…カカロットよ…言っておくが容赦はせんぞ」
ラディッツの雰囲気が一変した。
ゾワゾワと髪の毛が逆立つと共に、気もどんどん膨れ上がっていくのが目に見えて分かる。
兄との力の差を今一度思い知るがよい!
その言葉を合図に、両者共に構えをとる。
ついに闘いの幕開けである。
、
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