悟空の決断
「……分かった。ラディッツ…おめぇのその条件、呑んでやる!」
「お、おい!孫悟空!」
見え透いた嘘なのにも拘(かかわ)らず、まさか承諾するとは思っていなかった為、ピッコロは慌てて悟空を制しにかかった。
ラディッツとの距離をゆっくり縮めていく悟空の方へ待てと片手を伸ばす。
すると、悟空は一旦歩みを止め、そのまま口を開いた。
「…ピッコロ、心配ぇすんな。ヤツの言ってる事は間違ぇねぇ……」
「適当な事を抜かしやがって…勿論あるんだろうな?オレを納得させられるような確かな証拠が……」
リファの話が真実である事を前提に考えると、やはり何かが引っかかる。
物事というのは、こうもアッサリと上手く運ぶものなのか。何か裏があるのではないだろうかと。
以前自分も同じ穴のムジナだったせいか、ピッコロはどうしてもラディッツを信用する事が出来なかった。
一方、悟空はその対照的である。相手が誰であろうとすぐに信用してしまうというその悪い癖が、時に命取りになる事もあるだろう。
今までは運が良かったのか、何とか切り抜けてこられたようだが、今回ばかりは状況が違う。
全宇宙の命運が懸かっている今、曖昧な判断を下すわけにはいかないのだ。
「へへ…そんなもんはねぇさ…ただ、なんとなく、な……」
リファから直接話を聞いていた悟空ならば、一番理解している筈だ。
それを分かった上で決断したとなると、重大な何かを掴んだのか、或いは彼の直感が告げたのかーー。
どちらにせよ、彼が内心焦っている事に変わりはない。
一刻も早く、リファを救い出さなければならない。
でなければーー。
こいつが…
リファが……
オラのそばから居なくなっちまうような気がしてならねぇんだ……
、
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