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リファの声






「大人しく引き上げるだと?信じられんな。孫悟空、騙されるなよ?こいつが素直に引き下がる筈がない」



相手にするなと軽くあしらうピッコロに対し、悟空は止めるかのように彼の前へと片手を伸ばした。



「いや…待ってくれ。ラディッツ…今言った事、本当なんだな?」



そう問うなり、ラディッツの方をじっと見やる。彼の真意を確かめる為だろうか、彼の目から1秒たりとも逸らす事はなかった。



「くどいヤツだ。この状況で嘘などつけるわけがあるまい」



悟空に掴まれ、失っていた手首の感覚を取り戻す為、もう片方の手で押さえながら掌(てのひら)を閉じたり開いたりを繰り返す。


戦闘力たったの300程度の悟空が、手首を折りそうな程の凄まじい力を出すくらいだ。


相当怒りを感じていたのだろう。


その原因がまさか一人の少女にあるとは未だ信じられないようだが、ラディッツ自身も何となく納得出来る節があったのではないだろうか。


リファを生かしておくなど、今までの彼なら考えられない選択だからである。



「………」



一方、悟空はチラリとリファの方へ視線を移すなり、しばらく動かなかった。



******


「私、今まで多くの人達に助けられて生きてきました。だから、今度は私がみんなを助ける番です」


「頼りないかもしれない、もう手遅れかもしれない。けど……」


今あるこの光を消したくないんです。


当時の英雄達、ラニア、タグラ……


私を助けてくれたあの人……


そして、私の事を快く受け入れてくださった悟空さんやお仲間さん達…


みんなが望んだ世界、私もその意思を受け継いでいきたいから……


みんなの為にも、これからの未来を生きる人の為にも…




******



悟空の頭の中に流れ込んできたのは、ラディッツに抱えられグッタリしているリファの声だった。


それはまるで、今此処にいる悟空に何か訴えかけているかのよう。



「リファ……おめぇ……」



悟空は思った。きっとリファもどうすれば良いのか分からなかったのだろう。


勿論、自分だってどうすれば良いのかなど分からない。


ただ、リファがラディッツと一緒に居た時に何があったのか、それだけはだいたい想像はつく。


誰も死なずに済む方法などある筈がないと分かっていながら、駄目元でラディッツに話を持ち掛けたのだろう。


殺されるかもしれない。それでも、彼女はこの世界の為に全力で挑んでいたのだろうと。



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