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リファの気持ち






「この女は自らオレに協力を求めてきた。オレなら宇宙を自由に行き来出来るからな」



「……………」



得意げに話すラディッツに対し、悟空は何も答えない。余程ショックだったのか、無表情のまま彼が抱えているリファの方をじっと見つめている。



「クク…良い表情だ。自分が選ばれなかった事がそれ程に残念か?」


「…そんなんじゃねぇさ。ただ、今のでよく分かった……」



一度俯き悔しそうに目を閉じた後、悟空はラディッツを強く睨み付けた。



「おめぇは本当にろくでもねぇ最低な野郎だ!」



ピッコロの言う通り、口ではリファに協力するなどと言っているが、いずれまた地球を乗っ取りにやって来るに違いない。


彼女はその為に利用出来る価値が十分にある。先程ラディッツ本人もそう言っていた。


たったそれだけの短い時間で、つい先程まで地球人を皆殺しにしようとしていた者が心を入れ替えるだろうか。


だが、今気を失っているリファは、ラディッツが本当に協力してくれるのだと信じ込んでいる筈だ。


だがそれは嘘で、本来は殺戮の為に自分が利用されているだけだと彼女が知ってしまったらーー。



「おめぇは何も分かっちゃいねぇ!リファがどんな気持ちでおめぇに協力を求めてきたのか、今どんくれぇ不安なのか……っ!」



ギュッと握りしめる拳は、プルプルと震えている。


悟空もリファと出会ってまだ少しも経っていない。だが、彼女の事は誰よりも理解しているつもりだった。


今はまだどうすれば世界を救えるのか、その確実な手掛かりは得られていない。だが、彼女なりに色々考えている事は確かである。


そして、ようやくその手掛かりにたどり着いたのがラディッツという存在だった。



ーーガッ!!



悟空は勢い良くラディッツに飛びかかり、彼の手首を掴み上げた。



「リファは他の誰よりもこの世を救いてぇって思ってんだ!何とか出来るのはもう自分しか居ねぇって!怖ぇ気持ちを必死に我慢しながら…!なのに、おめぇは何でリファの邪魔をすんだよ!?」



悟空の怒りと共に、徐々に手首を掴む力が増す。今にも骨が折れんばかりにミシミシと痛々しい音が広がる。


彼は、何も知らない純粋なリファを騙し、利用しようとするラディッツを許す事が出来なかったのだ。



「………!」


(やめて悟空さん…!違うの…ラディッツさんは私の邪魔なんて…!寧ろこの人は……)



「勘違いするな…まだ話は終わっておらんぞ……」



ーーバッ!

「っ!?」




そう言い放つと同時に、ラディッツは悟空の手を振り払い、そのまま突き飛ばした。



「早とちりも良いとこだな。誰がこのまま連れて行くと言った?」



ラディッツは溜め息をつくなり、肩を動かしリファを担ぎ直した。



「貴様がこのオレに勝つ事が出来れば、大人しく引き上げてやる。まあ不可能だろうがな……」


「な…なんだと……?」



それは、悟空にとって予想外な展開だった。

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