嘘か本当か?
「カカロット…貴様、もう少し頭が切れると思っていたのだがな…ここまでマヌケだったとはガッカリしたぞ……」
そう言うなり、ラディッツはその場でドカッと座り込んだ。そして、装着しているスカウターを遠くへ放り投げた。
どうやら自分から戦闘を仕掛ける気はないらしい。
胡座をかいたまま、未だ怒りを鎮めようと歯軋りしている悟空の方を見上げた。
「…貴様もあの女から事情を全て聞いている筈だ。この非常時でもまだ拒み続ける気か?」
「あの女って…リファの事か…?まさかっ…!おめぇもアイツから話聞いたんか!?」
悟空はラディッツがリファの名前を出した途端に、キョロキョロと辺りを見回す。
彼女は無事なのか、今どこにいるのかが気になって仕方がないらしい。
「…バカが。聞いていなければ早くに貴様らを殺しているぞ。流石のオレもあの女が嘘をついているようには見えんかったのでな……」
「…おめぇ…一体ぇどうしてぇんだ?何が目的だ?リファをどうするつもりだ!」
「安心しろ。貴様の子供やあの女には危害を加えん。状況が状況だからな…数少ないサイヤ人同士が争ってる場合ではなさそうだ……」
ラディッツは再び立ち上がると、踵を返し、宇宙船が置かれている場所へと歩み寄る。
何も話さない。ザクザクと、ただ砂利を踏む音だけが辺りに広がる。
そして、そのまま宇宙船を置いている穴へと入って行った。
「…な、なんだ……?」
このまま戦闘になるのかと思いきや、予想外な展開ばかりだ。
悟空は、拍子抜けだと言わんばかりに目をパチパチさせている。
「気をつけろよ孫悟空。口ではああ言ってやがるが、ヤツは何をするか分からんぞ」
横目で悟空を見やりながら小声で話すピッコロ。今も尚構え続け、彼の行動に警戒している。
ラディッツがいつ攻撃を仕掛けてくるか知れない。もし、不意打などをかけられでもすれば、間違いなく致命傷だ。
自分との圧倒的な力の差を見せつけられ、その絶望の瞬間を肌で感じたピッコロだからこそ、よく分かる事だった。
そして、ラディッツがこのままアッサリと引き返すなど、ある筈がない事もーー。
しばらく経つと、宇宙船の穴からラディッツが浮いて出てきた。
「お、おい孫!あれを見ろ……」
彼があるものを抱えていた為、真っ先にそれに気が付いたピッコロはその方向に指差しながら、隣にいる悟空に問うた。
何か見覚えがあるのではないかと。
その姿を一度しか見た事はなかったが、この世界では見慣れない珍しい格好だ。忘れる筈がない。
「え…あっ!リファっ!?」
ラディッツが抱えているのは、グッタリとしているリファだった。
、
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