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ラディッツの選択





「おい!どうした!?」



ラディッツは、隣で倒れているリファをそっと抱え上げるなり、心臓の動きを確認する。



「…呼吸が弱まっている……」



先程まで会話をしていた相手に、そのような事が起こるだろうかと、彼は疑問を抱いているようだ。


だが、今はそのような事を考えている余裕はない。


リファの顔色は徐々に悪くなりつつある。今すぐにでも救助しなければ彼女の心臓は停止し、確実に助からないだろう。



「…………」



だが、ラディッツは何かためらっているのか、なかなか行動に移さない。



(…そういえば、この女は自分の星以外では生きられんと言っていたな…)



******


「以前、私を助けてくれたのがサイヤの方なんです」


「何故だか分かりません。ですが、もしかしたらサイヤの方のエネルギーなるものが、偶然私の体質に合っていたのかもしれません……」




********



「エネルギー…サイヤ人の気…か……」



そう呟きながら、彼はリファの頬にそっと手を添える。



「いや待て…何をやろうとしているんだオレは……」



自分の意志とは裏腹に身体が勝手に動き、ハッと思い留まるラディッツ。


その身体は、リファに自分の気を送ろうとしている。彼女を助けようとしているのだ。


サイヤ人は常に非情であらねばならない戦闘種族。そんな彼の心がこの少女によって、徐々に動かされ始めている。


いや、元々持ち合わせていた優しさが再び目を覚まし始めているのかもしれない。



「…念の為、生かしておくか。こいつは何かと利用価値がありそうだからな……」



そう呟くと同時に、ラディッツの手元から気が放出され始めた。


やがてそれは、リファの全身を包み込み、浸透するように体内へと入っていく。



するとその時ーー。



ーーピピピピッ!

「なっ!?何だ!?」




突然鳴り響く機械音。


それは、遠く離れた場所に置いてあったスカウターの反応だった。


スイッチを入れていないのにも拘らず、それは一人でに動きだしたのである。



DB.007 不器用な戦士 完 




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