良い案
「え…今何と……?」
「…全くない事もないと言ったんだ……」
「いい方法があるんですか!?」
それを聞いて興奮したリファは、早く言えと言わんばかりに身を乗り出す。
「あぼぼぼぼっ!」
だが、ラディッツに顔面を手で掴まれ、元の場所へ強制的に押し戻されてしまった。
「…もう少し離れろ。落ち着いて話も出来ん……」
「す…すみません……」
我に返ったリファは、今更になって恥ずかしくなり、頬を赤らめながら再び座り直す。肩をすくめて縮こまっているその姿は、まるで殻に閉じこもった貝のよう。
一方、ラディッツはリファとは反対の方向を向いている。彼も突然のリファの行為に驚いたようだ。
それが、この上なく真っ赤になった顔を隠す為である事など、その原因を作った本人は全く知らなかった。
どうやら、両者共に異性に迫られる事に対しての免疫がないのだろう。
「…それで、その方法とは一体何なんです?」
火照った顔を冷やす為、両頬に手を当てながら再び話を続けるリファ。
「ああ、簡単な事だ」
彼女に話を切り出されると、ラディッツは背けていた顔をその方向に向ける。
その表情は、何事もなかったかのように平常だが、背けている間に密かに顔の火照りを冷ましていた事は内緒の話である。
「…二人のサイヤ人をこの星に呼べば、時間も短縮できる。何も問題はない筈だ」
人差し指で地面を指しながら答える。
「………っ!!」
彼の提案を耳にした途端、リファは濃い影を作り、全身の動きが一瞬にして止まった。
まるで漫画のコマでよく見かけるような見事なリアクションである。
「おい…どうした?」
先程から止まって動かないリファを不思議に思い、ラディッツは大丈夫かと彼女の顔の前で手を振る。
「…ですよ……」
「…あ?何だって?」
「それですよ!その手があった!さすがラディッツさん!エラいです!」
「なっ!お、おい!いきなり何をしやがる!離せ!」
何を思ったのか、リファは突然ラディッツの髪の毛をまるでシャンプーで洗髪するかのようにワシャワシャと撫で回した。
案の定、ラディッツは彼女の予想外な行為に大層驚いている。
異性は勿論、他の仲間にもそのような行為を受けた事がなかった為、どうすれば良いのか分からず、彼女の対応に困ってしまっていた。
出来る事ならば、早く手を離して欲しいというのが本心だろう。
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