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超サイヤ人の伝説





ーーガシッ!




「今…何と言った?」



リファに歩み寄り、彼女の両肩を掴むラディッツ。


瞳がユラユラと揺れている事から、かなり動揺しているようだ。


【スーパーノヴァ】とは、惑星ベジータで生まれ育ったサイヤ人ならば誰もが知っており、周囲の者達を一気に恐怖と絶望へ陥れる破壊の技である。


そして、その技によって惑星ベジータも消滅してしまったと、リファは話す。



「ヤツが…惑星ベジータを滅ぼしたというのか?そんな馬鹿な話……はっ!?」



そんな馬鹿な話がある筈がない。


そう言い切ろうとしたが、途中でハッと何かを思い出したように目を見開く。


以前、同じサイヤ人の仲間とある星へと制圧に向かっていた時、そのような噂を耳にした事があった。


その時は単なるデマだろうと、それ程気に留めてはいなかったのだがーー。


彼らには、絶対的な自信があった。


同業者であるその人物には、今まで従順に命令通りに働き、何でもそつなくこなしてきたからだ。


何一つ、恨まれるような事はしていない筈。


そんな自分達を滅ぼす理由がどこにあるだろうか。


しばらく考え込んでいると、リファが遠慮がちに口を開く。



「…脅威的な存在……だと悟ったからではないでしょうか……いつか現れるかしれない【超サイヤ人】に自分が支配されない為に……」


「スーパーサイヤ人…?何だそれは……」


「ご存じないですか?1000年に一人現れるとされる強戦士の事です。サイヤ人にはそのような言い伝えがあると聞きました……」



リファも実際には見た事はないらしいが、その超サイヤ人という強戦士は、未知なる力を秘めているという。


だが、それはアトラス聖霊達で話されていた単なる噂話。


実際、サイヤ人の歴史は思ったよりもかなり深いものらしい。


その証拠として、当時はサイヤ人について書かれた報告書がずっしりと残されていた上に、まだ未処理の資料が大量に保管されていた。


よって、彼女はただ単に仕事をサボっているだけではなかったのである。



「…………」



ラディッツは何も答えずにリファの両肩から手を離すと、そのまま隣に腰を下ろした。


複雑な表情を浮かべている。彼自身、これからどうするべきなのか分からないのかもしれない。



「ラディッツさん…信じるか否かは貴方次第です。でも、このまま侵略を続ければ、間違いなく全ての星が宇宙のチリと化します……」



今は弟である悟空と対立している場合ではない。サイヤ人の誇りが云々(うんぬん)という問題でもない。


今すぐ侵略を止めなければ、世界そのものが終わってしまう。


今まで築き上げてきたものも全て失う。


生きるか死ぬかの問題なのである。



「…………」



だが、ラディッツは何も答えない。



「…私は生き残った貴方達にだけは死んで欲しくありません!お願いです!私に協力して頂けませんか?」



リファはラディッツの前で両膝をつき、そのまま頭を下げた。



「協力しろだと…?お前にそれを止められる力があるとでもいうのか?」


「…それは…分かりません。でも、私もアトラス聖霊です。頼りないですが、何もしないよりは可能性はあるんじゃないかって……」



ゆっくりと顔を上げ、困ったように首を左右に振る。


だが、ラディッツを見やる瞳は、全ての代償を受け入れんとする覚悟が備わっているかのよう。


その覚悟が彼にも伝わったのか、ラディッツはリファの腕を引っ張り上げ、自分の隣に座らせる。


そして、パチパチと音を立てながら燃え盛る炎を見つめながら口を開いた。



「…この強戦士サイヤ人に向かってそんな頼み事をするなど…イカれてやがるな……」



溜め息をつき、苦笑を浮かべるラディッツ。皮肉混じりな言葉を吐き捨てるが、先程のような鋭い眼圧は消えていた。


その瞳はまるで、不器用ながらも必死に迷子をあやそうとしている一人の人間のようだった。



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