解き放たれし真実
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ーーパチパチ……
その後、ラディッツは恥ずかしさのあまり、宇宙船の後ろに隠れてしまったリファを背後から無理矢理引っ張り出した。
細かい事は後回しにし、とりあえずは昼食の休憩タイムを取るつもりらしい。
自らの気功波で炎を作り出し、捕獲してきた巨大魚を焼き始めた。
焚き火の煙とこんがりと程良く焦げた美味しそうな匂いが同化し、辺りにふんわりと漂う。
その様子を、リファは物珍しそうに見つめている。
地球ではよくある光景だが、アトラス界では命あるものを口にしないのだろうか。
それとも、元々下界とは全く違ったものを食べるのだろうか。
先程魚を目にした時の反応は、どこか新鮮さを感じさせるものがあった。
「…それで…数百年間眠っていたと言ったな?まさかお前、人間ではないのか?」
胡座をかく足の上に両肘を置き、手を組むラディッツ。
すると、リファは焚き火に向かって乗り出していた身体を元に戻し、その場で正座をする。
そして、彼に向かって頭を下げた。
「…な、なんだ?」
その行為に疑問を抱き、どうかしたのかと組んでいた手が自ずと彼女の方へ伸びる。
するとリファは顔を下げたまま、ある事をラディッツにお願いした。
「その前に耳のそれ…取って頂けませんか?その…なんていうか……」
彼女が指すそれとは、恐らくスカウターの事だろう。
戦闘力を計測するだけでなく、遠くの星に居る者達と連絡を取り合う為の通信機にもなるという事を知っていたのだ。
だが、それを口に出す事が出来ない為、口をモゴモゴさせている。
(…こいつの用途まで知っているのか?なるほどな、誰に通信されているのかも、全て把握済みという事か…お前は一体何者なんだ……?)
心の中でそう問いかけるラディッツ。彼女が話そうとしている事がどのような内容なのかを考えてみるが見当もつかない。
ただ頭を下げ続けるリファを見つめては険しい表情を浮かべるだけ。
「…これから話す事は全て真実で、深刻な問題なので……」
「……っ!」
そう言うなり、リファは頭を上げラディッツの方を見やる。
すると、彼女と目が合ったラディッツは、触れようと伸ばしていた手を慌てて引っ込めた。
「お願いします…あなた達だけには知っておいて頂きたいのです……!」
だが、リファはそれと言って気にする事はなく、再び頭を下げた。
サイヤ人にだけ話しておきたい。つまり、彼ら以外の同業者に聞かせるわけにはいかない内容だという事である。
「…何か深い事情があるらしいな……」
彼女の意図を察したラディッツは、左耳からスカウターを外し、出来るだけ遠くへ置いた。
「これだけ離れていれば問題ないだろう。さあ、話せ」
そして、戻ってくるなり再びリファの向かい側に腰を下ろした。
「…あ、はい…まず、私達アトラス聖霊は、星を守護する使命を持っているので、みんな長寿なんです。とは言っても、活躍出来る人は限られているんですけどね……」
自分はその主役を務める事は出来なかったと苦笑し、残念そうに話した。
「それで…私が数百年間眠っていたっていう話なんですけど……」
そして、次がようやく本題である。リファは深く深呼吸をし、再び口を開く。
「実は私…惑星ベジータへ行った事があるんです…いえ、正しくはプラント星だった頃なんですけど……」
「何っ!?プラント星だと?そいつは惑星ベジータに変わる前の名前だ。お前はそんなにも前から生きていたというのか!?」
それを聞いたラディッツは、勢い良く立ち上がる。
「アトラス聖霊にとって1000年や2000年など、この星の1年や2年のようなものなんですよ」
理由は簡単だ。長い年月を経ても尚存在し続ける惑星達を守護する為である。
「私みたいな弱い聖霊は、アトラス界以外では生きられないんです。生命エネルギーを吸い取られて、やがて消滅してしまいます」
自身の胸に手を当てた後、両手の指と指をそっと合わせる。そして次の瞬間、何かを押し潰すようにして、その手はパンッと叩かれた。
「…ならば、何故お前はここに居る?当時もだ。何故生きていられた?」
確かに、ラディッツがそう思うのも無理はない。リファが話す内容は辻褄が合わないからである。
すると、リファは叩いた掌を包み込み、そのまま胸の前で組んだ。
「…当時はそこに居た方に助けて頂きました。そして、今は悟空さんに…つまり、共通しているのはその方も悟空さんも、あなたと同じサイヤの方だったという事です……」
懐かしそうに話すリファ。その時からサイヤ人に感謝の思いを抱き、自分の中ではずっと憧れの存在だったと。
「サイヤ人に……?どういう事だ?」
だがその一方、ラディッツはまだ首を傾げている。
恐らく彼が抱いている疑問とは、何故サイヤ人にリファを助ける事が出来たのか、である。
「恐らく、サイヤの方達のエネルギーが私の体質に一致したのかもしれません……」
「自分でも分からんのか……?」
リファは苦笑を浮かべ、そのまま俯きながら曖昧に答えた。自分でもその理由がよく分からず、只々何年もずっと疑問を抱き、悶々し続けていたのだ。
そう簡単に解決出来るなら、苦労はしていないだろう。
「ですが、貴方達に命を助けられたのは事実で…だから、少しでも恩返したくて…貴方に真実を話すんです……」
「真実だと……?」
ラディッツが何の事だと問うと、リファは眉を潜め、彼の方を見上げた。
「その…他のお仲間さんは今もどこかの星を攻め続けているんですよね……?」
「ああ、それが何だ?」
何のためらいもなくキッパリと答えられ、リファは酷くショックを受けたようだが、落ち込んでいる余裕はない。
今すぐ止めなければならない。
「…ラディッツさん…率直に言いますので、落ち着いて聞いてくださいね…星々に刺激を与えるという行為は……」
全宇宙の滅亡を意味するんです……
、
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